ビットコインの分散性はマイナー増加で向上
マイナー競争率増加によって、今ビットコインの分散化が加速している。
昨年12月、ビットコインマイニングのディフィカリティは2018年12月末の調整で8.22%減少すると推定されていたが、実際にはディフィカリティは二期連続上昇となった。
Bitcoinの主要マイニングプールBTC.comのデータによると、12月31日時点でのディフィカリティは10.03%増加、その2週間後ディフィカリティ調整では4.72%増加となっている。
さらに、BTC.comは、ディフィカリティが今後13日間でさらに4.35%増加すると推定している。
ビットコインのディフィカリティは2週間ごとに更新され、平均10分に1ブロックが作られるようにマイナーの競争率に応じて難易度が調整される。
そのため、マイナーの競争率を知る指標としてよく用いられる。
マイナー競争率上昇の主な要因は、昨年マイニング事業から撤退したマイナーたちが戻ってきたことにより、競争率の高いマイニング環境が作られたからだろう。
また、マイナーが再び増えていることの証拠として、ハッシュレートの増加も挙げられる。
実際に先月は約36.5k TH / sから約42k TH / sへと約13%の増加となった。
(半年間のディフィカリティ・ハッシュレートの推移 引用:BTC.com)
もう一つ分散化が促進されている根拠に、大手マイニングプールに所属しない「小規模マイナー」のビットコインネットワークでのシェア拡大がある。
この小規模マイナーによって承認されたブロックの割合は、年初は全体の6%しかなかったが、12月には全体の22%に達した。
BTC.comが管理するマイニングプールがネットワーク上で勢力を減少させ、代わりにマイニングパワーを小規模マイナーが担ってきている。
これは、Bitcoinネットワークが51%攻撃を受けるリスクの低下につながり、分散型ネットワークの信頼性向上に貢献していると言えるだろう。
ビットコイン価格低迷に伴いマイニング企業は次々撤退
(ビットコインの価格推移 引用:Coinmarketcap)
ビットコインのマイニング事業には、ハードウェア設置のコストや運用のための消費電力によって電気料金など多くの必要経費がかかる。
マイニングの報酬として得たビットコインからこの必要経費を引いた分が会社の利益となる。
しかし11月から12月にビットコインの価格が暴落したため、必要経費がビットコインを採掘するのに採算が合わない状況が生まれている。
さらにそこに拍車をかけるように、政府がマイニング作業向けの電力を値上げしたことを決定している。
2019年4月1日から、暗号通貨会社の電気料金はワシントンで15%上昇することが決まっており、2020年には35%、2021年には50%まで上昇する。
この状況を受けて、多くの会社がマイニング事業から撤退してしまった。
マイニング事業の産業発展を阻害しているとして米国ワシントン州東部地方裁判所に訴訟を提起している暗号通貨会社も出てきている。
また他のマイニング企業を見ても事態の困難さがうかがえる。
世界最大のマイニング機器メーカーであり、主要なビットコインのマイニングプール2つを運営しているBitmainも経営難に陥っている。
2018年第4四半期に7億ドル以上を失ったと報道されたあとには、同社は一斉の大量解雇を発表した。
さらにBitmainはイスラエル支部を閉鎖し、全従業員を解雇、オランダのアムステルダムとテキサス州ロックデールでも事業を撤退している。
果てにはBitmainのCEOであるジハン・ウーとミックリー・チャンも辞任する予定となっており、先行きが見えない状況が続く。
他の要因も考えられるが、ビットコインの価格が下がったのをきっかけに多くのマイニング企業が撤退している。
撤退するマイナーが増えてしまえば、ビットコインの分散性は低下してしまう。
ビットコインの信頼性を今後も保つためには、ビットコイン価格上昇も一つの鍵になってくるであろう。