本記事では、ソラナ(Solana/SOL)系銘柄が高騰した要因について解説します。

2021年初頭から9月現在までの間にソラナは価格をおよそ10倍も高騰させ、時価総額ではリップルやドージコインを抜き全体6位にまで上昇しました。

そんな今最も注目されている仮想通貨ソラナですが、価格が上昇した要因は一体何なのでしょうか。

今回は、コインパートナー独自の見解も含め、ソラナ急騰の背景や要因などについてわかりやすく解説していきます。

8、9月のSolana銘柄を振り返る 

  • SOLに連動する形で価格上昇
  • Solanaプラットフォームの需要拡大

ソラナは大手仮想通貨取引所FTXが出資するブロックチェーンエコシステムであり、ソラナ上にはすでに数多くのDAppsが構築されています。各DAppsは独自トークンを発行しており、2021年夏にはソラナの価格上昇に相対してそれぞれ価格を急騰させました。

本題に入る前にまずは、2021年8、9月のSolana系銘柄の価格値動きや資産流入額を振り返りたいと思います。

SOLをはじめとした関連銘柄が高騰



[出典:Coinmarketcap]

上記画像はSOLの直近3ヶ月間(2021年7~9月)の値動きになります。7月には1SOLあたり$20~30を推移していましたが、9月上旬には最高値が$200を超え、一ヶ月の間に価格を10倍近く急騰させました。

その結果、仮想通貨の時価総額ランキングでは全体6位にまで上昇し、今最も注目されている銘柄として人気を維持し続けています。

2021年夏は、他の主要仮想通貨銘柄はどれも横ばいの価格推移をしていまいしたが、ソラナの人気上昇だけはとどまることを知りませんでした。実際に、海外リサーチメディア「Coinshares.com」は、

"9月第2週の仮想通貨全体への資金流入額が5700万ドルなのに対し、Solanaへの資産流入額は5000万ドルにも登った。"

と述べています。このデータが、今夏にSolanaがどれだけ人気だったのかを表しています。

上記画像は、ソラナエコシステムを代表する4銘柄の直近3ヶ月(2021年7~9月)の価格推移になります。どの銘柄も、左上のSolana(SOL)に連動した価格推移をしていることが見て取れます。

Solanaプラットフォームの需要急増


[出典:Coin98Analytics]

2021年8月中旬、一体なぜSolana(SOL)の価格はここまで高騰したのでしょうか?バンズキャピタルのCEO、ジョン・アデルカ氏は、今回のSolana(SOL)の価格高騰要因について、

"SOLの価格は、ソラナが構築したプラットフォームの需要急増から大きな恩恵を受けていると思います。"

と大手メディア「Forbes」のインタビューにて述べています。ソラナチェーン上で稼働するDAppsの基軸通貨には、それぞれSOLが採用されているため、DAppsの需要が増加していくほど、その基軸通貨であるSOLのの価格も上昇していくという見解です。


[出典:Symmetry.fi, CoinmarketCap]

上記のグラフはソラナ上にあるDeFi全体のTVL(Total Locked Value:総ロック数)とSOLの価格推移を比較した画像になります(上記が総ロック数で下記がSOLの価格)。
見ての通り、ソラナDeFiの総ロック数とSOLの価格推移は非常に似たような動き方をしていることがはっきりしています。

Solana系銘柄が高騰した要因

  • NFTマーケットの創生が成功
  • 分散型取引所への流動性拡大

上述してきたように、Solana系銘柄の価格が高騰した理由としては、プラットフォーム需要の増加が挙げられました。

今回は、ソラナ上に構築された数あるDAppsから、特に需要を大きく増加させたNFTとDEXに分野を絞って解説していきます。

NFTマーケットの創生が成功 


[出典:DuneAnalytics]

2021年8月は、NFT(非代替性トークン)が仮想通貨界隈のみならず、アート業界全体でも注目を集めた期間だと言えるでしょう。上記画像はNFTの売買が行われるNFTマーケットプレイスの中でも、最も流動性が高い「Open Sea(オープンシー)」の取引高推移です。7月末からNFTアート急速に取引高が増加していることがわかります。

これまでNFTのマーケットプレイスは、イーサリアム上のものが主に用いられてきました。上記で挙げたオープンシーもイーサリアム上に構築されたアプリの1つです。

しかし、イーサリアムが抱えるスケーラビリティ問題による高価な取引手数料と遅い処理速度は、NFTを始めるユーザーにとって大きな障壁となっていました。

Solana最大のNFTマーケットプレイス「Solanart」が6月にローンチ


[出典:Solanart]

そこで、ソラナ上に構築されたNFTマーケットプレイス「Solanart」が注目を集めます。

Solanartは、ソラナエコシステムを代表するNFTマーケットプレイスです。NFTアートの売買が行われる際の通貨には、ソラナの基軸通貨であるSOLが用いられるため、SOLの需要もNFTブームに相乗して高騰します。

Solana系NFTの取引高は数百万ドルを超えており、より多くのNFTコレクターがソラナ上のNFTマーケットプレイスに参入しました。


すでに多くの著名人がNFT市場に参入を表明しており、人気ラッパーのLil Uzi Vert氏(フォロワー数800万人)なども自身のソラナNFTをTwitterのプロフィール画像として採用しています

投機目的のNFTアートが登場!多くのコレクターが参入


[出典:Solanalysis.com]

例えば、Solanart上で販売された新規NFTプロジェクト「Degenerate Ape Academy」は、発売開始からわずか1分間で発行上限の1万枚が完売しました。執筆時点でも頻繁に取引が続いており、一週間の取引高は260万ドル、平均取引価格は100SOL(14万ドル)となっています。

Degenerate Ape Academiyや、Solpunksなどは、オープンシーですでに発売されていたNFTがモチーフとなっていて、発行枚数が10000万に限られたジェラティブアートとして多くの流動性を集めています。

各NFTアートに設定されたフロアプライス(最低価格)付近での取引は特に活発で、単にアートとしてNFTを保有するだけではなく、投機目的としての側面ももっています。

より安い手数料と早い処理速度での取引を行うことが出来るソラナ上のNFTマーケットプレイスの登場は、ソラナトークン自体の認知度と需要を高めた大きな要因ともいえるでしょう。

分散型取引所への流動性拡大

より高性能でのトランザクションは、分散型取引所(DEX)への流動性増加も引き起こしました。

Solanaに限らず各ブロックチェーンプラットフォームには、DEXと呼ばれる仮想通貨取引所が存在し、イーサリアムだとUniswap、ソラナを代表する分散型取引所にはRaydiumSerum等が存在します。

先述したようにSOLは各DAppsにて手数料として用いられています。つまり、DApps内での取引高の増加に比例し、基軸通貨SOLの需要も増すでしょう。

実際、ソラナDeFi全体の取引高の中でもDEXの占める割合は非常に大きく、DEXの流動性増加はSOL銘柄の価格上昇を後押ししたと言えます。

Solana最大のDEX「Raydium」のTVL増加


[出典:DeFiLlama]

こちらは直近1年間でRaydium内に蓄積されたTotal Locked Value(総ロック数;以下TVL)になります。分散型取引所の人気度合いを示す数値として度々用いられるTVLですが、こちらのグラフからも2021年夏頃から多くの資金が流入していることがわかります。

RaydiumをはじめとするDEXの流動性が急増した要因としては、流動性マイニングを行う際のAPR(年換算利率)増加が挙げられます。
取引所に提示されるAPRは、その時の需要と供給バランスによって変動するため、需要が急増したSOLトークンのAPRも上昇しました、

さらに、Raydiumに預け入れられた流動性は、同じくソラナ上に構築された取引所Serumへも共有されており、Raydiumはソラナ経済圏を活性化するための重要な役割を果たしています。

Solana銘柄の高騰要因まとめ

以上がSolana系銘柄の価格が2021年夏に急騰した要因の解説になります。

Solana系銘柄が高騰した要因をまとめると、

・NFTやDEXへの流動性が増加し、基軸通貨であるSOLの需要が上昇したため。

ということになります。今回のSolana急騰の背景には、空前のNFTブームや、イーサリアムのスケーラビリティ問題なども重なり、ソラナプラットフォームの需要は著しく増加しました。

しかし、現在時価総額ランキングで10位以内に位置するSolana(SOL)の人気は継続するのでしょうか?

次回の記事では、「Solanaの将来性」について、さまざまなデータとともに解説していきたいと思います(9月30日木曜日公開予定です)。