暗号資産(仮想通貨)の取引を行う上で無視することができないのが税金だと思います。株やFXなどと比較して暗号資産(仮想通貨)にかかる税金は比較的に高いと言われており、節税対策を探している人も多いのではないでしょうか?

この記事では暗号資産(仮想通貨)の節税方法をいくつか紹介していきます。

文字よりも動画で勉強したい方はこちらからご覧ください!

暗号資産(仮想通貨)の節税対策

  • 利益の圧縮
年間で利益が出ていて含み損のある通貨がある場合、その通貨を売却し、損失を確定させることで年間の利益を小さくすることができる
  • 法人の設立
法人を設立することで、最大税率が個人と比べて低くなる、損失を10年間繰り越せるなど様々なメリットがある
  • ふるさと納税
支払う税額を低くすることはできないが、お得に納税できる
  • 必要経費の計上
暗号資産(仮想通貨)取引でかかった費用を必要経費にすることで年間の利益を抑えることができる
  • 青色申告
最大65万円の特別控除や損失の繰越控除などの税制上のメリットが多い

そもそも暗号資産(仮想通貨)の確定申告が必要な人とは

一般的に暗号資産(仮想通貨)の利益が20万以下であれば、確定申告が必要ないと言われますが、20万以下の利益であっても申告が必要なケースを紹介します。

確定申告が必要な人

・給与収入が2000万以上

・給与所得や退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超えている

・給与を2カ所以上からもらっている人

・ふるさと納税している人

確定申告をしなければならない人をピックアップしてみました。

利益が20万以下でも、確定申告を必要とするケースがあるので、気をつけましょう。また、住民税の申告は利益が20万円以下であっても、必要なので注意してください。

厳密に言えば、他にも確定申告を必要とする人がいます。例えば、給与所得者で同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けている人などです。

わかりやすいものを列挙しただけなので、もっと詳細な確定申告義務者を知りたい方は国税庁のHPをチェックしてみてください。

暗号資産(仮想通貨)にかかる税金について

税金対策について解説する前に、暗号資産(仮想通貨)にかかる税金について簡単に説明します。

暗号資産(仮想通貨)取引を行う中で発生した所得は、原則として雑所得に区分されます。雑所得は、給与所得など他の所得との合計額に対して課税される総合課税に分類されます。総合課税は所得額が大きくなるほど税率が上がる累進課税で、住民税も考慮すると最大で55%の税率がかかります。

また、暗号資産(仮想通貨)取引で出た損失は、給与所得など他の所得区分の所得と相殺できない点や、上場株式の売買のように生じた損失を翌年以降に繰り越すことはできないといった特徴があります。

損失を翌年以降に繰り越せないという特徴は、年間の取引で損失が出ている方が覚えておくべきポイントです。本記事では、損失が出ている場合でもできる税金対策の方法も紹介しています。詳しくは「年間で損失が出ている場合も圧縮できる」をご確認ください。

所得税の速算表

(国税庁ホームページから引用)

節税対策①:利益の圧縮

利益額の圧縮とは、含み損のある通貨を売却し損失を確定させることで、年間の利益額を減少させるというものです。

また、年間で損失が出ている場合でも、含み益のある通貨を売却し、利益を確定させることで、翌年以降の利益を低く抑えることができる可能性があるので、今期損失となっている方も確認してみてください。

まずは、利益の圧縮を行う上で理解する必要がある、「実現損益」と「含み損益」について説明していきます。

予備知識①:暗号資産(仮想通貨)の損益計算と実現損益について

仮想通貨の損益計算と実現損益について

暗号資産(仮想通貨)取引による利益(損失)は、簡単に説明すると、売却した際の価格から購入した際の価格(取得価額)を引いて算出します。このときの差額を「実現損益」といいます。 

実現損益 = 時価(売却時の価格×売却数量)ー原価(平均取得単価×売却数量)

※取得価額とは、通貨を取得する際にかかった費用の総額のことで、購入時に付随して発生した手数料なども含みます。

予備知識②:含み損益について

含み損益についての画像含み損益とは、保有している通貨の原価と現在の時価の差の事で、もし今売却したら利益が出るならば含み益、損失が出るならば含み損を抱えているといいます。

損益を圧縮するためには、取引によって発生した年間の実現損益額と、各通貨ごとの含み損益を確認することが重要なポイントとなります

利益の圧縮方法

それでは、利益を圧縮する方法を説明していきます。

利益の圧縮ができるのは、年間の実現損益がプラスで、含み損を抱えている通貨が一つでもある状態です含み損のある通貨を売却することで損失を確定させ、年間の利益を少なくすることができます。

利益圧縮の流れは以下のようになります。

利益圧縮の流れ

ステップ①:損益計算を行い、年間の実現損益額と各通貨の含み損益を確認する

ステップ②:含み損のある通貨を売却し、損失を確定させる

ステップ③:利益圧縮のために売却した通貨をすぐに買い戻す

ステップ①:損益計算を行い、年間の実現損益額と各通貨の含み損益を確認する

まず最初にやるべきことは、損益計算を行い、

暗号資産(仮想通貨)取引によって発生した年間の実現損益を確認します。Gtaxのような暗号資産(仮想通貨)の損益計算ソフトを利用すると実現損益だけでなく、各通貨の含み損益も確認することができます

実現損益がプラスで、含み損を抱えている通貨が一つでもある場合は、利益の圧縮ができるので次のステップに進みましょう。

ステップ②:含み損のある通貨を売却し、損失を確定させる

仮想通貨の損益圧縮例

上の画像のように、年間では300万円の利益が出ていても、BTC単体では100万円の含み損を抱えているというケースがあります。この場合は、BTCを売却して損失を確定させることで年間の利益を圧縮させることができます。

ステップ③:利益圧縮のために売却した通貨をすぐに買い戻す

BTCを保有し続けたい場合は、売却したBTCをすぐに買い戻せば、利益圧縮の処理を行う前と同じ状態に戻ります。※

通貨を買い戻す際の留意点

留意点①

上のケースで利益を圧縮するために売却したBTCを買い戻した場合、BTCの平均単価が変動することに伴い、最初に計算したBTCの含み損益と異なりますのでご注意ください。

留意点②

総平均法による計算を行っている方は、利益圧縮のため売却したBTCをすぐに買い戻した場合に、平均単価(取得価額)が以前より低くなり、実現損益が増加します。(下記リンク先の記事をご覧ください。)

その結果、当期の実現損益が変動するため、意図したとおりに損益額を圧縮できない場合もありますのでご注意ください。
総平均法を利用する場合、2020年12月31日にBTCを売却し、2021年1月1日に買い戻せば、2020年の損益状況に影響を与えずに利益を圧縮することができます。

移動平均法・総平均法に関する詳細はこちらをご確認ください。

年間で損失が出ている場合も圧縮できる

上で説明した例とは反対に、年間で300万円の損失が出ているけど、BTC単体で100万円の含み益を抱えているというケースもあります。
このようなケースでも、適切に処理を行うことで翌年度以降の税額を低くできる可能性があります。

2020年の年末時点で、年間で300万円の損失が出ていて、保有しているBTCの含み益が100万円あるケースで考えてみましょう。

ケース①:100万円の含み益があるBTCを売却せずに、年明けて2021年に売却した場合

損益額と課税に関する具体的なケース

各年度の損益額

・2020年の損益:-300万円
・2021年の損益:+100万円

「ケース①」では、含み益のあるBTCを売却せずに、年明けに売却した場合です。2020年度は年間で300万円の損失が出ているため、税金は発生しません。

雑所得は、損失を翌年以降に繰り越すことができないので、年度が変わるタイミングで損益額がリセットされます。

そのため、2021年の始めにBTCを売却すると含み益がそのまま確定するので利益となり、課税の対象となります。

ケース②:2020年の年末に100万円の含み益があるBTCをすべて売却した場合

仮想通貨の損益と課税に関する具体的なケース
各年度の損益額

・2020年度:-200万円
・2021年度:0万円

「ケース②」では、2020年度で実現損益が-300万円となっている時に、100万円の含み益があるBTCをすべて売却します。

上記の計算のように、2020年度は年間で200万円の損失となるので、税金は発生しません。また、2021年度は取引が無いのでこちらも税金が発生しません。

BTCを保有し続けたい場合は、売却したBTCをすぐに買い戻せば、損益圧縮の処理を行う前と同じ資産状態に戻ります。

「CASE②」では、「CASE①」と同じ取引内容にも関わらず、課税対象となる所得は発生しませんでした。

損益圧縮のポイントまとめ

・年間の実現損益と各通貨の含み損益を確認することが大切

・年間で損失が出ている場合でも、翌年以降の税額を低く抑えることができることもある

・利益が出ている場合でも損失が出ている場合でも実現損益をゼロに近づけることがポイント。損益を圧縮できるのは以下のケース
実現損益が(+)の場合で、含み損益(-)の通貨が1個でもある
実現損益が(-)の場合で、含み損益(+)の通貨が1個でもある

暗号資産(仮想通貨)の損益計算ソフト「Gtax」では、取引所から取得できる取引履歴をアップロードするだけで、年度ごとの実現損益額や、各通貨の含み損益の状況も確認することができます

まずは年内に一度、損益計算を行い損益の圧縮ができるかどうか確認してみましょう。

Gtax

Gtaxの詳細はこちら

節税対策②:法人の設立

暗号資産(仮想通貨)取引による利益が比較的大きい方は、法人を設立し、法人として取引を行うことで支払う税金を少なくできる可能性があります。

個人では所得税に加えて住民税も含めると最大で約55%の税率が課されるのに対し、法人では、法人税、住民税及び事業税も考慮にいれた法定実効税率は最大で約34%*なので、所得が一定以上の場合は法人化したほうが税率低く抑えることができます。

その他にも、取引で発生した損失を10年間繰り越すことができたり、他の事業との損益通算ができるなど、様々なメリットがあります。

一方で、法人の設立の際には株式会社の場合、最低でも20万円程度かかり、決算申告の際に税理士などの専門家への報酬を支払うなど、ある程度の費用がかかることや、法人のお金は自由に使えないなど、デメリットもあります。
また、法人の場合は、暗号資産(仮想通貨)の時価評価損益(含み損益)も計上する必要があります。

法人設立でメリットを得ることができるかどうか慎重に検討する必要があるので、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

*資本金1億円以下の中小企業、東京都の場合(2020年11月現在)。会社規模や都道府県により実効税率は変わります。

節税対策③:ふるさと納税

お得に納税する方法として、ふるさと納税を紹介します。

ふるさと納税は、任意の自治体に寄付を行い、返礼品を受け取ることができる制度です。寄付した金額から2000円の自己負担を超えた分が所得税や住民税から控除されます。

ふるさと納税をすると、普通に納税する場合とほとんど同じ額を払って返礼品ももらう事ができるので、結果としてお得に納税することができます。

ふるさと納税は所得額によって上限が存在するので、暗号資産(仮想通貨)取引による所得がある方は年内におおよその損益を把握して、上限額を算出しましょう。

節税対策④:必要経費の計上

暗号資産(仮想通貨)取引でかかった費用は、必要経費として収入金額から控除することができます。

経費として計上できるものとして、以下のようなものが考えられます。

・取引の手数料
暗号資産(仮想通貨)について勉強するための書籍、セミナー代金
・ウォレット

収入を得るためにかかった費用が経費として計上できるので、他にも取引を行うためにパソコンを購入した場合なども経費に計上することができます。

注意点としては、他の用途にも使える場合、全額を経費に計上することができない可能性があるということです。
経費に計上してもいいか曖昧な方は税理士に相談しましょう。

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節税対策⑤:青色申告

青色申告をするための用件は3つあります。

(1) 不動産所得又は事業所得生ずべき事業を営んでいること。
(2) これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3) (2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。
参考:国税庁HP

暗号資産(仮想通貨)の利益は通常雑所得の区分されるため用件(1)を満たすことはできませんが、事業として暗号資産(仮想通貨)取引を行なっている場合など暗号資産(仮想通貨)で稼いだ所得金額を事業所得として申告することが認められる可能性もあります。

よって、最大65万の特別控除、純損失の繰越控除など節税するうえでたくさんの恩恵を得られる青色申告を認められる場合もあるので、要件を満たす人は青色申告承認申立書などの準備をするといいでしょう。

暗号資産(仮想通貨)の節税対策Q&A

年間の利益が20万円以内なら確定申告しなくていい?

給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えると確定申告をしなければならないですが、逆をいえば、年間の利益額を20万円以内に抑えれば、確定申告をする必要がない場合があるということです。

すなわち、原則雑所得に区分される暗号資産(仮想通貨)の年間の利益額を20万円以内に確定できれば、その分節税できるかもしれないということになります。

しかし、20万円以内に調整できたとしても、住民税はかかるので、あくまで所得税のお話であることを念頭に置いておきましょう。

含み益に税金はかかりますか?

暗号資産(仮想通貨)は、決済した時、売却した時、ほかの暗号資産(仮想通貨)と交換した時に利益として認識されます。

裏を返せば、購入した暗号資産(仮想通貨)を保持し続ければ、税金はかからないということです。

暗号資産(仮想通貨)取引で利益が確定する場合

  • 暗号資産(仮想通貨)でモノやサービスを購入(決済)した場合
  • 暗号資産(仮想通貨)を売却した場合
  • 暗号資産(仮想通貨)で暗号資産(仮想通貨)を購入した場合

本記事の論点とは少しずれますが、積立投資であれば、暗号資産(仮想通貨)を保持し続けるため、税金がかかりません。節税につながる投資手法と言えますし、特にビットコインの積立投資は長期的な資産形成の観点からもおすすめです。

積立した暗号資産(仮想通貨)を現金に換える際は、当然に利益として確定されますからそこは注意してください。

暗号資産(仮想通貨)で億単位稼いだけど、他に節税方法ない?

ハードルの高い節税方法ですが、日本より税率の低い海外に移住することで節税できる可能性があります。

国外転出時において、⑴及び⑵のいずれにも該当する居住者が、国外転出時課税の対象者となります。
⑴ 所有等している対象資産の価額の合計が1億円以上であること。
⑵ 原則として国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を 有していること
対象資産の範囲
有価証券(株式、投資信託等)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・ デリバティブ取引
参照:国税庁HP(サイト内のPDFを参照) (2021/02/08時点)

この要件によれば、対象資産に暗号資産(仮想通貨)が含まれていないので、日本より税率の低い国移住できれば、結構な節税につながります。もし暗号資産(仮想通貨)で億り人になった場合などこういった節税スキームは今のところ使えるので検討してみるといいでしょう。

しかし、海外移住となるとその他の手続きなどが複雑であるため、本気で考えるのであれば、なるべく専門家などに依頼することを推奨します。

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暗号資産(仮想通貨)の税金対策の方法まとめ

暗号資産(仮想通貨)の税金対策をするためには、年内に一度損益計算を行い、自分の損益額を正確に把握することが大切です。計算を行い、含み損益を確認した上で損益が圧縮できそうな状況であれば実施してみましょう。

暗号資産(仮想通貨)の損益計算ソフト「Gtax」では、取引履歴をアップロードするだけで年間の実現損益と各通貨の含み損益を確認することができます。
国内外多くの取引所に対応しており、自動対応外の取引所や取引種別についても手動で入力できるので、レンディングやステーキングなど様々な種類の取引を行っている方でも利用できます。

今回は暗号資産(仮想通貨)の利益(雑所得)に関わる節税対策を解説しましたが、自分の資産を守るうえで節税は大切ですので、今回紹介した節税方法以外の対策なども自分で調べるといいでしょう。

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