​アメリカの大手銀行JPモルガンがクレジットカードによるビットコインの購入を禁止 

Bloombergの報道によると​、アメリカ最大手の銀行JPモルガンは本日2月3日より自社が発行するクレジットカードが暗号資産(仮想通貨)取引所での決済に利用できない措置をとり、実質的なクレジットカードによるビットコインの購入を禁止を行いました。JPモルガンCEOのJamie Dimonは去年の9月ごろに暗号資産(仮想通貨)は詐欺であると否定したことを今年1月9日のFox Businessのインタビューにおいて「暗号資産(仮想通貨)は実体がある」​と訂正し暗号資産(仮想通貨)の可能性に対し考えを改めたばかりでした。

しかし、JPモルガンの広報担当Mary Jane Rogers​によれば、ここ数日の暗号資産(仮想通貨)市場の価格大暴落を受けクレジット機能を利用した顧客が返済ができなくなるリスクを危惧したための決断のようです。また、クレジットカードを拾うなどして不正利用が可能になった際に暗号資産(仮想通貨)に変換しマネーロンダリングを行うことを危惧した結果でもあるのではないかと予想されています。

ここ数日のビットコインの暴落に関してはこちらの記事で解説しております。 

2/1にビットコインは100万円を割り込むという大暴落を起こしました。この記事ではその理由を分析します。​2/1、ビットコイン大暴落のワケ​​大前提:ビットコインは一月中下げ相場だった​まず、この記事を読む前に前提として知っておいていただきたいのですが、ビットコインは1月上旬からずっと下げ相場を続けていました。特に、1月最後の一週間はコインチェックのGOXやBitfinexとTetherの不正問題など、暗号資産(仮想通貨)市場全体のマイナス材料となるスキャンダルが続出していました。2/1の暴落は、そのとどめの一撃のようなものです。では、2/1に何が起こったのかを見ていきましょう。​2/1にあった大きな下げ要因を①、②、③、④と四つマーカーをつけておきました。①15時50分頃:「インドで暗号資産(仮想通貨)が禁止される」というデマニュース発信②17時頃:韓国大手暗号資産(仮想通貨)取引所Bithumbに警察が立ち入り捜査に入ったことが報道される③18時10分頃:「Binanceが中国本土向けサービスを停止した」という噂が流れる④21時頃:インドのデマニュースが日本国内で拡散では、これらについて一つずつ解説していきます。①「インドで暗号資産(仮想通貨)が禁止される」というデマニュース発信​インドの財務大臣が「暗号資産(仮想通貨)を利用した違法行為を一切撲滅する」という旨の発言をしたところ、主要メディアが「インドでは暗号資産(仮想通貨)が今後一切禁止される」と取り違えて報道しました。これが第一のマイナス要因です。インドの暗号資産(仮想通貨)禁止報道はデマ!曲解された財務相の発言の真意は?2月1日、インドで財務相が「暗号資産(仮想通貨)の使用を違法行為とし、全面的に取り締まる」と発言したという旨のニュースが暗号資産(仮想通貨)ユーザーたちの耳に入りました。結局のところそのニュースはデマだとわかりましたが、その真意を解説します。続きを読む 

 今回の購入禁止はクレジットカードにのみ適用されるものであり、デビットカードやATMキャッシュカードの利用は制限されないとのことですが、総資産約271兆4100億円​と全米1位を誇る世界的銀行で行われたこの規制は無視できるものではありません。

全米2位のバンク・オブ・アメリカをはじめとする他銀行に追随する動き

​現在アメリカ国内の銀行では暗号資産(仮想通貨)に関してクレジットカードの利用を制限する傾向にあります。​アメリカでクレジットカードの利用が制限されるのは今回が初めてではなくディスカバリーカードを発行するディスカバー・ファイナンシャル・サービスキャピタル・ワン・ファイナンシャルでもすでに同様の措置が取られています。また、アメリカ2位の銀行バンク・オブ・アメリカ(国立銀行ではありません)でもJPモルガンに先立って2月2日よりクレジットカードに制限がかけられています。バンク・オブ・アメリカの広報担当のBetty Riessによれば「​購入禁止はクレジットカードにのみ適用される​」とのことでJPモルガンとまったく同じ措置のようです。

さらにシティ銀行でも2月2日よりクレジットカードでの購入が禁止されています。シティ銀行の広報担当 Jennifer Bombardier​によれば「今後も市場の成長にあわせ措置を考えていく」とのことです。

仮想通貨への影響は?コインパートナーが分析!

​暗号資産(仮想通貨)がリテラシーの低い大勢に投資対象としてみられている現状では暗号資産(仮想通貨)のボラティリティは高くあり続けることが予想されます。そのため今後同じような理由で日本国内でも暗号資産(仮想通貨)売買にクレジットカードの利用ができなくなる可能性もあります。これにより被害を受けるのはクレジットカードを利用して自動で暗号資産(仮想通貨)を購入​していた「指値注文を出している中上級トレーダー」であることが予想されます。しかし逆に言えば銀行入金を主とする一般トレーダーにとっては購入において直接影響が出る問題ではないかもしれません

暗号資産(仮想通貨)の価格に関しては、クレジットカードによる購入者がいなくなることで買い注文がさらに減り価格の低下を長引かせる可能性があるでしょう。実際にMastercard社によると、クレジットカードの海外利用量は暗号資産(仮想通貨)の購入が盛んになった影響で去年に比べ22%に増加を見せていますが価格の降下とともに減退傾向にあるようで、クレジットカードによる購入を行っている人々が一定量存在することが明らかになっています。

ただ、今回の利用禁止は悪い側面ばかりではなく、持っている以上の額の取引が行われにくくなるため暗号資産(仮想通貨)のボラティリティを小さくし正当性を高めるものでもあることも理解しましょう。