​ルーマニアは電子マネー発行規制の緊急措置案を発表

ルーマニアの財務大臣は電子マネーを規制するための緊急措置案を提唱したことを、地元紙が今週木曜日に報道しました。この措置案では、電子マネーの発行は法的許可を持つ組織によってのみ行うとし、その監督はルーマニア国立銀行の手に委ねるとしています。Business Reviewの報道によると、ルーマニア国内において電子マネーはクレジット機関欧州中央銀行、そしてEU加盟国の中央銀行によって発行された場合のみ法的に有効になるようです。

草案の下では、電子マネーをローンチしようと考えている機関はルーマニア国立銀行に許可を申請しなければならなく、三ヶ月に渡って審査を受けなければなりません。同銀行はその機関が適切な管理構造リスクを認知するための効率的な処理システムが形成されているかどうかを三ヶ月に渡って入念に審査します。この草案においては、新たな電子マネーをローンチするために最低限必要な株式資本を35万ユーロ(約4500万円)に設定しています。また、電子通貨を開発する計画を立てている組織は自社の納税記録のチェックを受け、認証されないといけません。それに加えて、ルーマニア国立銀行は発行を申請する機関それぞれ個別に審査及び承認をしなければなりません。

Business Reviewによると、この草案では電子マネーを「時期を含めて電気的に保管された金銭的な価値であり、発行者が支払い決済手段として発行し、他のユーザーが受け取るもの」と法的に定義していますが、この草案はいつ法律として施行されるかは明確ではありません。

他のEU諸国と比較すると、ルーマニアはブロックチェーンや暗号資産(仮想通貨)産業への必要性に対応するのが一足遅いようです。しかし、それでもルーマニアのブロックチェーン産業は進歩し続けているというのも事実です。例えば非政府組織であるルーマニア連合ブロックチェーン協会は暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーン技術を使う際に安全性を確保するツールをルーマニア市民に提供することを目的に、今年の三月下旬に結成されました。

同組織のトップであるAndrei Stanica​氏は今年のはじめに「私たちの組織はこの分野(暗号資産(仮想通貨)業界)に積極的に参加する人たちが利益を得ることをサポートする傘を提供することを目的としています。我々はアドホックグループを統一し、政府や議会、そして中央銀行や財政管理当局などと繋げるインターフェースとなるでしょう。」と述べています。

コインパートナーの見解

​ルーマニアでは連合ブロックチェーン協会が設立されたりしていますが、最古の取引所BTCxChange​が今年5月に閉鎖するなど、電子マネーや暗号資産(仮想通貨)実用化に向けてはなかなか難しい状況にあったのは確かです。そんな中規制案を発表した今回のニュースは、キャッシュレス社会実現化へ向けて少なからず動きを見せている証拠ではないでしょうか。上記にあるような厳しい条件はいたずらに新たなマネーを発行するのではなく、しっかりと経済を流通させる力を持つお金を発行しようという国の姿勢を表しているのでしょう。

草案の施行の目処が立っていないので現段階での予測は難しいですが、国内で盤石な法整備ができたら電子マネーの流通量が増えて、暗号資産(仮想通貨)に対するハードルも下がっていくのではないでしょうか。