仮想通貨市場に影響は? 欧州中央銀行が「デジタルユーロ発行」に言及、「デジタル人民元」への懸念も

欧州中央銀行のChristine Lagarde総裁が、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)たる「デジタルユーロ」の将来性について、現時点での見方を語った。

同総裁は、「“デジタルユーロ”はエリートや若者だけのものではない。」と指摘したうえで、「すべての市民にサービスを提供する。」との姿勢を表明した。

 ECBが公式Twitterにて「デジタルユーロ」について説明、「すべての市民を対象に」

123日、ECB(=European Central Bank/欧州中央銀行)は公式Twitterにて「デジタルユーロ」について言及した。

同ツイートでは、ECB総裁を務めているChristine Lagarde氏のCBDCに関するコメントが掲載され、「デジタルユーロ」のたどるべき道筋について語った。

ドイツのフランクフルト・アム・マインにて行われたECB理事会に出席したChristine Lagarde総裁は、デジタルユーロの導入に関して「適切な問題解決や対応が必要だ」としたうえで、以下のように説明した。

「『デジタルユーロ』は、一部のエリートや若者だけのものではありません。すべての市民を対象にサービスを提供するでしょう。」

以前より、迅速なデジタルユーロ導入を目指す対応を表明していたECBだが、その姿勢は2021年をむかえてもなお加速している模様。

CBDCが仮想通貨業界におよぼす影響も大きいのでは」との見方も広がっており、今後のヨーロッパ地域におけるデジタル通貨への対応にはさまざまな業界から引き続き注目が集まっていきそうだ。

欧州は「デジタル人民元」を危惧しているのか?そのユースケースに言及

今回、Christine Lagarde総裁は、中国で試験的運用が進められている『デジタル人民元』にも言及した。

同総裁はデジタルユーロの有用性について語った際、中国の「きわめて大規模なパイロットプログラム」ECBCBDC計画に影響をおよぼす可能性を示した。

以前より、ECBは中国の「デジタル人民元」に注意を払っている姿勢を明らかにしてきた。

2020年11月に行われた『欧州決済の未来会議』では、他国および他地域のCBDCに関する脅威について言及している。

当時、ECZB理事会メンバーのFabioPanetta氏は、「中央銀行はデジタル時代における効率的で包括的かつ安全な支払いを確保したい。」との展望を明かしていた。

さらにFabioPanetta氏は、「ステーブルコイン、他国CBDC」のふたつの脅威についても語り、「中国がデジタル人民元を国内の小売業界に展開している」ことを例示するとともに、ユーロ圏で他国CBDCの支払い・使用が主流となることを危惧していることも示唆していた。

中国政府はデジタル人民元・自国ブロックチェーンの世界的普及を目指しているのか

実際のところ、中国のデジタル通貨計画には、国際的な拡大が視野にふくまれている。

1月16日、中国のブロックチェーンサービスネットワーク(BSN)は、2021年における関連計画を発表した。

BSNの同発表では、「海外でのブロックチェーン拡大」および「先進国と発展途上国の双方をふくむおよそ50都市でBSNブロックチェーンパブリックシティノードを拡張」することが計画されている、との展望が明らかになった。

それと同時にBSNは、デジタル人民元のより広い展開を引き続き期待していることを報告しており、ECB11月の声明を考慮すると「デジタルユーロの導入にあたって、中国デジタル人民元の進展に懸念を抱いている」とも考えられる。

法整備・制度明確化に後れをとるアメリカ、今こそ“時代の転換期”に

一方で、かつてよりたびたび指摘されているように大国アメリカは“通貨のデジタル化”という観点においてはやや後れをとっている形か。

今月14日、FRB(米連邦準備制度理事会)Jerome Powell議長は、「米ドルが現時点における世界の準備通貨であるため、(この分野において)アメリカは優位性を有している。」と語っている。

将来的に世界中で激しい“デジタル通貨争い”が勃発する可能性が語られる中、いちはやく正式にCBDC発行を実行するのは果たして――。

わたしたちは今まさに、“通貨”という側面において時代の転換期に立っているのかもしれない。

\無料アプリを使って/

暗号資産(仮想通貨)のニュースを逃さずチェック

この記事は、beincrypto.comの「Markets News Report: ECB Sees Digital Euro as Useful for ‘All Citizens’.」を参考にして作成されています。