仮想通貨ビットコイン(BTC)の"ボラティリティ"が大手企業におよぼす影響とは=みずほ証券シニアアナリスト

みずほ証券のシニアアナリストを務めるDan Dolev氏が、「昨今の仮想通貨ビットコイン(BTC)の激しい価格変動が関連サ-ビスを提供する大手企業」におよぼす影響について、自身の見方を明かした。

Dan Dolev氏は、2020年にビットコイン大量購入・仮想通貨関連新サービス提供開始でそれぞれ大きな注目を集めたSquare社とPayPal社について言及し、「ビットコイン価格の激しい価格変動を受けて、両社は大幅な利益を獲得している。」との現状を分析した。

注目集める激しい"ビットコインボラティリティ"、Square社・PayPal社の動きは

2020年末頃から2021年にかけて、歴史的にも大幅な価格乱高下を続けている仮想通貨ビットコイン。

ビットコインは、2021年始に過去最高値に相当する「約42,000ドル(=約436.9万円)」まで高騰したあと、一時は30,000ドル(=約312.1万円)台前半にまで大幅に下落するなど、ここ最近は特に激しいボラティリティを記録している。

そんなビットコインの価格乱高下が期間投資からにあたえる影響について、みずほ証券のシニアアナリストDan Dolev氏が自身の見解を語った。

先日行われたCNBCのインタビューに応じたDan Dolev氏は、主に世界的大手企業であるSquare社とPayPal社について言及し、両社と仮想通貨ビットコインの関係性について分析した。

世界的大手企業の活躍顕著な2020年、両社が“魅せる”ビットコイン関連の詳しい動向は

Square社とは、Twitter創設者で現CEO(最高経営責任者)であるJack Dorsey氏率いる上場企業。

2017年後半からCash Appを活用したビットコイン販売を試験的に開始している同社は、2020年第3四半期にビットコイン関連事業を拡大。

単にユーザーにサービスを提供するだけではなく、同社のバランスシートにビットコインを組み入れるとともに、202010月に発表した5,000万ドル(52億円)のビットコイン購入は財務上の資産として購入していたことを認めていた。

一方、そのライバル企業にあたる米決済企業大手PayPal社は、2020年11月に「ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)・ライトコイン(LTC)・ビットコインキャッシュ(BCH)」の4銘柄の仮想通貨(暗号資産)を対象に、売買サービスを正式に開始。

同年11月末時点ですでにビットコインの新規供給分の約70%を購入していたとされるPayPal社が仮想通貨サービスを開始した後には、ビットコイン価格が急激な大幅価格上昇を記録するなど、ビットコイン市場に多大な影響をおよぼす結果となった。

そんな両社は、2020年から2021年にかけてのビットコイン市場および関連サービスを牽引してきた代表的企業ともいえよう。

「Square社にとって、ビットコイン価格の"ボラティリティ"は重要なエンゲージメント要素に」=Dan Dolev

Square社とPayPal社について、Dan Dolev氏は『ビットコインが崖から転落したとしても、決済大手の両社はビットコインの激しい価格変動の恩恵を受ける準備ができているでしょう。』との見方を語った。

2017年までさかのぼってみると、実際にビットコイン価格が上昇していない期間でも、Square社のビットコイン関連収益は増加し続けていることがわかりました。」

「そして、その理由は2点あります。1点目は、Cash Appにてビットコインを使用、もしくは取引しているユーザー数が劇的に増加している点です。2点目は、1ユーザーあたりのトランザクション件数が大幅に増加している点です。(中略)つまり、たとえビットコイン価格が 100,000ドルであろうと、または 30,000ドルや10,000ドルへと下落しようと、Square社は“ビットコイン”から大きな利益を得るということです。」

その一方でDan Dolev氏は、『ビットコイン価格が激しいボラティリティを記録しているときほどSquare社は大きな利益を獲得する可能性が高く、ビットコイン価格が停滞を続けるとその利益は小さくなる。』との見方を分析した。

Dan Dolev氏は、昨今ビットコイン市場に展開されている大規模なラリーを踏まえたうえで、以下のようにコメントした。

「それ(=Square社の利益)は、ビットコイン価格のボラティリティにともなう“エンゲージメント”と深く関係があります。ビットコイン価格が激しく変動し、きわめて不安定な状態にある場合、実際にはその“エンゲージメント”は高まる傾向が強いと思います。したがって、ビットコインが一定の価格にとどまってなかなか変動しない場合、Square社のみならず、提供されるビットコイン取引関連のサービスのほとんどが好ましい結果とはならない可能性が高まります。」

Square社とPayPal社が提供するビットコインなど仮想通貨関連サービス、その影響の違いとは?

Dan Dolev氏は、ビットコイン価格のボラティリティがPayPal社にも同じように影響することを前提とした上で、両社を比較しながら以下のようにコメントした。

PayPal社でもまったく同じ傾向が見られます。PayPal社とSquare社の唯一の違いは、『PayPal社の仮想通貨対応サービス提供が、2020年11月に始まったばかりであるという点』にあります11月時には、ユーザーベースで約20%がすでに仮想通貨取引を開始していると考えられていました。ですので、この数は今でははるかに増加していると思います。」

「また、PayPal社と異なり、Square社のサービスはCashAppでのエンゲージメントも関係するのでその影響ははるかに広範囲に及びます。」

Dan Dolev氏が主張するように、Square社およびPayPal社は、2020年のビットコインふくむ仮想通貨市場全体を牽引する存在であったことはまちがいない。

これらのようなビットコイン関連サービスを提供する大手企業の動向は、仮想通貨市場にも非常に大きな影響をおよぼす可能性が高い。

今年2021年以降、両社がどのような動きを見せてくれるのか、そしてそれを受けてビットコイン価格はいかなるパフォーマンスを披露してくれるのか――今後も引き続き、仮想通貨業界への注目度は高まっていきそうだ。

\無料アプリを使って/

暗号資産(仮想通貨)のニュースを逃さずチェック

この記事は、dailyhodl.comの「“Bitcoin’s Wild Price Action Will Benefit PayPal and Square Even if BTC Plummets.”: Says Analyst – Here’s Why」を参考にして作成されています。