こちらの文章は先日M&Aでグループ会社となったBeat Holdings Limited社CEOの松田元氏によるコラムとなっています。
今後は松田氏と議論を重ねながら仮想通貨に関する見通しについて、定期的に連載していく予定です。また、松田氏はnoteによる解説も行っているので、是非そちらもご覧ください。
DeFiトークン
本稿では幾度となく取り上げてまいりましたDeFiトークンですが、相変わらず仮想通貨市場に強烈な旋風を巻き起こしており、界隈は非常に賑わっております。
元々はDeFi=分散金融であり、中央集権化されない次世代金融に期待が持たれて始まったブームではありましたが、ここ最近、明らかに投機熱というか、むしろギャンブル熱に近い熱量でトークン市場が賑わっております。
DeFiのトークンに対する買い需要が半端ではないので、世界トップランクの取引所は皆、DeFiトークンをいち早く取り扱えるよう躍起になっております。
DeFiバブルと崩壊
DeFiに詳しい知人によると、ローリスクローリターンでも大体月利で10%(年120%)、ハイリスクハイリターンでは月利で100%(年1,200%)受け取れることはザラにあると言っていました。
DeFiの運営元には潤沢な資金(ETHまたはアルトコイン)が入ったわけですから、当然その資金を法定通貨に換金しようという動きが起こります。
すると、アルトコインが一斉に換金され、BTC売りの米ドル買いになりますので、仮想通貨はビットコインが一時1万ドルを下回る展開になりました。
もちろん、BTCなどは既に先物・ETF等を経由した資金流入もあるため、流動性に何の影響もありません。
しかし、問題は○○token(DeFi)そのものの流動性です。
投資家の8割がロックアップに協力したとしても、2割の浮動票は残ります。
価格が上がり続けているうちは買い圧力が勝つでしょうが、一度価格が崩れ始めると、2割の売り圧に8割のロックアップ解約組が加わり、値段は瞬く間に暴落します。
更に危険なのは、見えない最大の売り圧、つまり胴元です。
○○token(DeFi)の運営元に、例えば市場全体のサーキュレーションのうち50%のリザーブトークンがあったとします。
マーケットキャップが5,000億円近くまで大きくなった○○token(DeFi)の半分が胴元に支配されていて、その売りが一斉にきたら果たしてどうなるでしょうか。
一瞬で値段は大崩れしてしまいます。
以上が、DeFiバブルとその崩壊までのからくりです。
どうしても立場上は、明確に顕在化しているリスクを指摘せざるを得ないため、書き方がやや否定的になってしまいました。
しかし、DeFiを投資評価する上では、ソースコードの分析からプロトコルのガバナンスについての監査は必須です。
ですので、現状流通している、監査がなされていないDeFi tokenも、前述した物語のようなことが起こらないとも限りません。
DeFiとICO
DeFiとICOは、見た感じとても良く似ていますが、以下2つの点で大きな違いがあります。
1.ステーキングがスマートコントラクトに書き込まれている点
2.分散金融なので発行体がいないとされている点
ICOのように法的な規制が到来した時に、BTCやETHのレベルにまで分散化が実現していれば規制できないとする向きもいれば、単なるねずみ講ではないかと指摘する向きもいます。
SECも馬鹿ではありません。
いくら発行体がいないと抗弁したところで、売買アドレスを徹底的に追いかけて証拠を固めれば、発行体の特定がされるDeFiプロジェクトも出てくることでしょう。
ですが、スマートコントラクトそのものは技術的に書き込まれたものなので、本当に資金流入が見込めるDeFiプロジェクトがあれば、それはそれでかなり面白くなると思います。
ICOバブルの時に本質を見抜き取引所を極めたBinanceが世界を取ったように、DeFiブームが次の巨人を育てている可能性が十分にあると考えます。
従って、ややシニカルにDeFiブームを書いてしまいましたが、個人的にはこのムーブメントは非常に可能性を感じています。
少なくとも見る側面を変えただけの曖昧なSTOよりは、遥かにDeFiのほうが面白いと考えています。
勿論それは、今後DeFiの中で有望なプロジェクトがしっかりと育つこと。
また、DeFiに投資する側もしっかりとリテラシーを磨いた上で投資の良し悪しを判断していくことが欠かせません。
今後の価格予想
ただ一つ言えることは、BTCについては暫く上値が重い展開が続く一方、意外にETHやアルトコインの買いが続く可能性があります。
それは、DeFiへの買いが、単なるブームとして終わるとは思えず、もう暫く(数ヶ月)はETHを通じたDeFiへの買いが継続すると見られるからです。
我々ビート社にもDeFiトークンの開発依頼が非常に多く来ておりますので、このブームにうまく乗りつつ、しっかり収益確保を実現していきたいと思います。
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松田氏について
Beat holdings limited(9399)CEO。早稲田大学商学部卒。実業家としての経験を活かし、複数の上場企業における投資銀行/バリューアップ業務を豊富に経験。2016年衆議院予算委員会における中央公聴会にて、最年少公述人として日銀の金融政策に関する意見を述べる。