仮想通貨で支払いを行う契約は無効であると中国の裁判所が判断を下した。
仮想通貨は通貨としての価値を持たず、契約に補償も強制力もないとした。
支払いが終わっていても売買契約は無効
6月17日に公開された中国・上海市の裁判所の判例によると、仮想通貨を支払い商品を受け取る売買契約は無効であり、法的に保護されない。
原告は法律違反にならない「商品と商品の交換」であると主張したが、認められなかった。
訴えを起こしたのは黄という人物で、2019年5月、アウディの車を上海の自動車会社から40万9800元(約823万円)で購入。これに相当する価値(当時)の仮想通貨「尤里米」を1281単位、一括で支払った。
しかし、支払いを済ませたにもかかわらず自動車会社が納車を行わなかったため、訴訟を起こすに至ったという。
中国は仮想通貨の取引や法定通貨(人民元)との交換を禁じているが、今回のケースは通貨による支払いを仮想通貨に置き換えたのではなく、「商品と商品を交換」しただけであるとして、原告は売買契約の有効性を主張していた。
しかし裁判所は、仮想通貨に実質的な使用価値がないため、自動車との交換は「商品と商品の交換」とは認められないと判断。
契約の本質は仮想通貨を法定通貨と置き換え、支払いに使用することにあるとして、契約は無効という裁定を下した。
原告は判決を不服として控訴したが、上級裁判所は一審判決を支持し控訴を棄却している。
裁判所は判例を掲載したウェブページの最後に「注意喚起」として、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は法定通貨と同じ法的地位を持たず、通貨として市場に流通させることはできないことを改めて念押し。
「仮想通貨の交換や取引などはいずれも違法な金融行為であり、仮想通貨にかかわるすべての取引行為には大きなリスクが伴う」と、注意を促している。
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