現在世界中の大手企業が、躍起になって暗号資産(仮想通貨)事業に参入している。
つい1,2年前までは、「怪しい」「胡散臭い」などという声ばかりであったが、それが一転もはや暗号資産(仮想通貨)の事業を行っていないところは時代遅れとも感じ取れるほどの熱狂具合だ。
なかでも今年は、Facebookの独自通貨「リブラ」の話題で持ちきりだ。
また世界の大企業の中で、Facebookだけが暗号資産(仮想通貨)に注目しているわけではない。
AppleやAmazon、Googleなどいわゆる「GAFA」といわれる世界のトップ企業すべてが暗号業界に興味を示している。
今回はGAFA各社が表明するそれぞれの暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンへの見解や具体的取り組みについてフォーカスしていく。
上に示した表は、GAFA各社の暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンに関する取り組みについての概要をまとめたものだ。
各社の具体的な取り組みはのちほど掘り下げていくとするが、表を見てわかるように、「Google」と「Facebook」はGAFA4社のうちでも、自社でのブロックチェーン技術開発や暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーン技術を専門的に行う他社への出資を積極的に行っている。
それに対し、「Amazon」や「Apple」は、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンには広く理解を示しているものの、実際の技術導入や多額の出資に関しては、他2社と比較するとやや消極的と見て取れる。
そもそも、世界中の超大手企業がこぞって暗号資産(仮想通貨)界隈への参入に躍起になっているのは、「独立した経済圏をつくりたいから」だ。
既に大きな顧客基盤をもつGAFAは、「独自暗号資産(仮想通貨)による決済」という金融サービスを提供することで、既存ユーザーとのきずなを強くし、本業へのユーザーの定着率を高めようとする意図も伺える。
では、「独立した経済圏の形成」を狙うGAFA4社は、いったいどのような暗号資産(仮想通貨)事業を展開しているのだろうか?
Googleのこれまでの動向を見ると、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーン技術の開発を行う企業への出資のみならず、自社でも開発を行っている点から、かなり積極的に同技術の取り込みを試みていることが分かる。
また、驚くことに、Googleがリップル社に出資を開始したのは2014年なのだ。
世界中で暗号資産(仮想通貨)ブームが巻き起こるだいぶ前からGoogleは暗号資産(仮想通貨)に注目しており、その積極的な姿勢は今なお継続されている。
世界で最も広く使用されている検索エンジンを運営するGoogleの暗号資産(仮想通貨)に対する肯定的な姿勢が、世界中での暗号資産(仮想通貨)普及の一助になることは間違いない。
Facebookの暗号資産(仮想通貨)事業と聞いて1番初めに思いつくのはやはり「Libra」だろう。
「Libra」にはvisaやマスターカードなど数多くの有力企業が出資していることでも大きな話題となった。(Libraについてはこちら)
さらに、ザッカーバーグ氏が、プライバシーの管理やログイン機能にブロックチェーン技術の導入を検討しているとの構想を明らかにしたことでもFacebookは世間を賑わせた。
GAFAの中でもいち早く独自経済圏の確立を目指すことを明らかにしたFacebookが今後の暗号資産(仮想通貨)に与える影響は計り知れない。
Facebookの暗号資産(仮想通貨)事業は、ビットコインを含むその他暗号資産(仮想通貨)の実用化を加速させることになるだろう。
Amazonは、ブロックチェーン技術そのものの潜在的可能性に期待している印象。
独自暗号資産(仮想通貨)の発行は現段階では「ない」と明言しているものの、顧客からのニーズが高まれば、発行の可能性は十分にあるだろう。
幅広いハードウェアやアプリケーションを提供するAppleは、暗号資産(仮想通貨)による弊害を避けるため、マイニングの禁止を発表している点も興味深い。
しかし、暗号資産(仮想通貨)に実用性や可能性にはポジティブな姿勢をとっているため、暗号資産(仮想通貨)界隈への本格的な参入も時間の問題であろう。
暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーン技術は、現状ではただの荒削りのダイヤの原石。
だからこそ、今、GAFAがこの界隈に本格参入することに意味がある。
GAFAは新たな独自経済圏の形成に成功し、「暗号資産(仮想通貨)」の世界中への普及に大いなる貢献をするのか。
それとも、国家や法の支配に阻まれ、独自経済圏はあえなく消失し、「暗号資産(仮想通貨)」発展の障害となってしまうのか。
大手企業による暗号資産(仮想通貨)界隈への参入は、私たちの想像を遥かに超え、暗号資産(仮想通貨)の未来を担うほど奥深い社会的意味を有するのだ。
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著者: CoinPartner 編集部 kenta