中国国営メディア・新華社が仮想通貨に関するレポートを自社ホームページに掲載した。

中国政府による規制の動きに呼応するかのように、同レポートでは仮想通貨に対する厳しい見解が示されている。

中国国営メディアが仮想通貨に厳しい姿勢を打ち出す

中国国営通信の新華社が仮想通貨に関するレポートを同社ホームページに掲載した。中国国内では政府による仮想通貨規制への動きが再び強まりつつあるが、政府の仮想通貨に対する姿勢をそのまま後押しするかのような否定的な内容が綴られている。

「クラッシュ」、「ダイビング」、「​​流血」…。519日以降、ビットコインをはじめとする仮想通貨の市場動向では、これらの「悲劇的」な言葉が何度も使われています。 価格が大きく変動するたびに「投機家」の心は揺さぶられ、見物人の神経を刺激します。

この序文から始まった当記事ではまず、新華社記者と投資家の間で交わされたWeChatチャットのスクリーンショットを引用して「投資家は仮想通貨のレバレッジ取引のポジションが爆発したために多額の資金を失いました」と紹介。

更に続けて新華社の記者は「このような悲劇的なコストは避けることができたはずです」と語り、「仮想通貨の投資リスクを明るみに出すためには、一刻も早くレポートを発行しなければいけません」と述べた。

この記事のなかでは数多くの仮想通貨に対する主義主張がなされているが、その一部は以下のような内容となる。

  • ドージコインら"air coins "は空気のようなもので、目に見えず、触れることもできず、物理的なサポートもなく、利用価値がない
  • 投機的ターゲットの価格が暴落して潮が引くと、投資家にもたらされるのは大きな損失と後悔だけ
  • 現行の司法実務では、仮想通貨取引は法律で保護されておらず、当事者が起こした結果や損失は当事者自身が負担することになる
  • 一連の報道の中で記者は多くのスペースを割いて仮想通貨取引の投機リスクを示唆し、「投機」から離れて正しい投資概念を確立するよう丹念に呼びかける

 また新華社は独自に取材を行い、投資によって損失を被った投資家へインタビュー。インタビューイーを『詐欺の被害者』と表現し、他の投資家についても『ギャンブラー的な発想を持っている』と述べている。インタビューイーが語った言葉は以下のとおりだ。

仮想通貨に投資するのはリスクがあるとわかっていましたが、誰かが購入し、私が途中で手を変えれば必ず儲かるという考えでした。

中国四川省のマイニングエリアへ独自取材

またこの記事では、マイニングの概要について事細かに解説をした上で、マイニングが活発に行われているエリアとして四川省を取材した様子を綴っている。

記者は「マイニング場」の現地の運用・保守担当者数名に話を聞くことで、(取材先が)「水力発電データセンター」という名目でマイニングを行っていることを知りました。

(中略)

ビットコインマイニングの世界的な電力消費量は、いくつかの中規模の国の電力消費量に相当します。このような大きな電力消費は、実際の産業を支えることも、実際の価値を生み出すこともなく、雇用や税収を促進するものではありません。

同記事は上述の内容に加え、マイニングは非生産的であるとの主張および中国政府がこれまでに行ってきた仮想通貨規制の変遷を詳しく語った。

記事の中では「一般の人々が自らのリスクで自由に取引に参加することができる」と取引の自由を語りつつも、そのリスクに触れた上で政府、金融機関、投資家への提言を一通り行った。

そして最後には「報道を通じて仮想通貨のリスクから人々が遠ざかることを望む」という旨の言葉をもって記事を締めくくった。

仮想通貨の高騰と暴落は続いており、この「ジェットコースター」がいつ終焉を迎えるかは誰にもわかりません。 しかし、一連の調査報道を通じてより多くの人々が「仮想通貨」のリスクから遠ざかり、リスクのさらなる伝播を防ぐために時間的に「ブレーキ」をかけることができれば、「仮想通貨」を監視するという新華社通信の記者の当初の意図も実現することになるでしょう。

政府と国営メディアが一体となって仮想通貨へ厳しい姿勢をみせているが、国内では反発の声も上がっている。 最近では、政府によるマイニング取り締まり政策について、中国大手マイニング機器メーカー「カナン」が反対の意を表している。中国ではしばらくの間、論争が続くことになりそうだ。

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この記事は、新華社の「新闻背后的故事|新华社记者为何紧盯“币圈”那些事?」を参考にして作成されています。