ビットコインを通貨と認めた米国VS.次世代IT圏をリリースする中国【定期コラム】


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こちらの文章は先日M&Aでグループ会社となったBeat Holdings Limited社CEO松田元氏によるコラムとなっています。

今後は松田氏と議論を重ねながら仮想通貨に関する見通しについて、定期的に連載していく予定です。また、松田氏はnoteによる解説も行っているので、是非そちらもご覧ください。

今回のコラム概要

今回のコラムの中核はアメリカと中国どちらが世界の覇権を握るかというところです。

昨年9月に中国はブロックチェーン国家宣言をし、仮想通貨業界に大きな影響を与えました。中国はこの宣言通り、スピード感を持って、仮想通貨・ブロックチェーン産業を発展させています。

これに対抗しよう後追いの形でアメリカが追っているのが今の状況です。米国ワシントンD.C.州で、ビットコインが通貨であるという判決が下されました。

ここからアメリカがブロックチェーン・暗号資産の領域で重要になるのが、大統領選挙と言えます。

本コラムでは大統領選の展望から、中国のブロックチェーン産業の現在地、そして今後の暗号資産におけるキーパーソンについてご紹介していきます。

米中衝突の過激化

米中の衝突がかなり過激化しつつあります。互いの国に置いた領事を閉鎖しあうなど、事態は随分と物騒に見えつつあり、大統領選を控えるこの時勢、更に激しくならないことを祈っております。

香港を巡る中国と他国の衝突は、ある程度出来上がりのイメージは見えているのでそんなに心配はしていないのですが、大統領選を前にして米国内がCovid-19でやられているときに、米中の関係がきな臭くなるのは、ふとした拍子で、事態が深刻になりかねないリスクを感じます。杞憂に終わればいいのですが、備えておくにこしたことはありません。

大統領選はトランプが優性

大統領選については、色々と情報を取っていますが、錯綜する情報を整理すると、4年前の大統領選情勢よりは、遥かにトランプ大統領にとっては優勢との見方が多いそうです。個人的にもトランプ大統領が勝つシナリオが王道だと思っています。理由はシンプルに以下の通りです。

1.初当選の時と異なり、任期中、トランプ大統領は圧倒的な結果を残している
2.米国の主流は、なんだかんだ言ってWASP(White Anglo-Saxon Protestant、ホワイト・アングロ-サクソン・プロテスタント)であり、対抗馬のバイデン候補ではWASPへの訴求力が弱い
(言い換えると、バイデン候補が反トランプ・黒人の票を取りまとめられるイメージがない。)
3.フェイクニュースが多すぎ(裏を返せば、それだけ敵陣が焦っている)

明確に結果を出した知名度抜群のトランプ大統領を選ぶか、結果は出るか分からないけど安パイなバイデンを選ぶか、と言われれば、アメリカ人の国民性を考える限り、どう考えても前者でしょう。アメリカ人は分かりやすいヒーロー好きです(それもヒールだと猶更)。

コロナが大統領選のブラックスワン

ただし、ブラックスワンが一つだけあります。それはコロナ。米国内のコロナ禍が激しくなり、トランプ大統領の素晴らしい成果を忘れるくらいの大参事が発生するようなことがあれば、選挙戦も多少苦しくなるかもしれません。それでも、小職はトランプ大統領が勝つと思います。しかしこのパターンで勝つ場合のシナリオは、多少の犠牲を伴う可能性があります。シナリオには二つパターンがあって、一つはアイデンティティに訴えかけて勝つパターン、もう一つは、仮想敵を創って一体感を煽りながら勝つパターンです。前者はソフト、後者はハードです。ですが、いずれのケースも、仮想敵が必要です。

頭の良いトランプ大統領のことですから、covid-19問題が過熱化すればするほど、その熱量を外の仮想敵に向けようと思うはずです。その仮想敵の代表が中国。武漢ウイルスとまで言われる疫病で世界がこれだけ苦しんでいるわけですから、国内外問わず、世論は、必ず、対中国への感情にシフトされます。大統領選がピークを迎える9月10月に、“打倒中國”をスローガンにしたトランプ大統領の演説が頭に浮かんでしまいます。

今回の米中領事問題には、少なからず大統領選を意識した力学が働いているとしか思えません。いち地球市民としては、米中の合戦が過熱化しすぎず、ソフトランディングすることを祈るばかりです。

中国はブロックチェーンの世界のリーダーに

中国的には親中派のバイデン氏に当選して貰い、米中の覇権争いに歯止めをかけたいところでしょう。

中国が国際社会のリーダーになるためには、中共の強引な突破力だけではなく、国際社会へ理解される強権以外の“何か”が必要です。そのカギを読み解くヒントがDCEP(中国デジタル人民元)でありBSN(Blockchain Service Network)だと理解しています。中国は、米国の厳しい交渉を裁きながら、裏でしっかりと一帯一路経済圏を完成させようとしています。関係各国に理解されるための寄付も惜しみなく投下しています。各国との関係強化に向けて更に必要なのが統一通貨(DCEP)であり、インターネットに代わるプロトコル(BSN)です。

中国のブロックチェーン動向

8月10日に正式にローンチされるそうなので、リリース後に更に精緻に分析してみたいと思いますが、毎月3~5種類のトークンがBSNに採用されていくということなので、相当やばいことになります。dApps(分散アプリ)の開発に使われるトークンがメインということなので、近い将来、中国やアジア向けのアプリは、BSN経由でないと開発出来ないストアに乗せられない、という時代が来るのでしょうね。もちろんデバイスはHuaweiを始めとする中国デバイス。これらには、BSN関連のアプリがプリセットされる形になります。こうなってくると、中華圏・準中華圏の数十億人の人口を無視することが出来なくなってくるので、米国もそう簡単にHuaweiの輸入規制などを課せなくなる気がします。

BSNの経済圏で秀逸なのが、恐らく対応通貨はDCEPとなるはずで、アプリ経済圏と統一通貨を同時にリリースしてしまうところにあります。結局、BSN上でアプリを開発し中華圏にリーチしようとする企業は、最初から、(1)BSNにあらゆる情報が記録され、(2)決済通貨は問答無用にDCEPを使わざるを得ない、というガイドラインに縛られます。インターネットの世界では、仮に中国にいたとて、VPNを使えば中国国内でも海外のサーバーにアクセスし、非中国のサービスを表示することが出来ましたが、BSNではそうはいきません。何故なら、そもそも決済通貨としてDCEPを使わなければなりませんし、ブロックチェーンに対応する端末を持っていない限り、BSN対応のアプリを表示させることすらできないからです。

中国の狙いは開発データの集積と、独自デジタル通貨の普及

要するに、中華圏の市場へアプローチをしたいのであれば、BSN上で全ての開発履歴を残すことDCEPを基軸通貨とすること、が基本ルールとなってしまい、DCEPの買い需要が即座に生まれてしまいます。従って、ビジネスチャンスがあるとすれば、(1)DCEPへのスワップが出来るウォレット、(2)BSN上での迅速な開発が出来る技術、あたりでしょうか。この辺りは我々のブロックチェーン領域とかなり近いものがありますので、早急に対応していきたいところです。まずはBSNがリリースされ次第テスト的にパイロットプロジェクトを開発すること、そして、DCEPがリリースされたら、誰よりも早く決済通貨としてCMWT上に対応できるよう迅速に動くことを心しておきたいと思います(DCEPのネットワークが既存のブロックチェーンと交差できるかは詳細を見てからでないと不明ですが)。

米は負けじとビットコインを通貨として認める

スピード感をもってブロックチェーンに取り組む中国を意識してか、米国ワシントンD.C.州でも、ビットコインが通貨であるという判例が出てまいりました。あくまでも本判例は、マネーロンダリングを犯したとされる被告の答弁を封じるために、州内の資金移動法の下、貨幣であると認定されたもので、あくまでもきっかけに過ぎませんが、それでもビットコインが“米国の首都で貨幣として認められた”のは非常に大きな一歩であるといえます。無から生み出されたネットワークの報酬が通貨である、と法的に認められた以上、支配権を失う規模にまで拡大したネットワーク上のトークンは通貨である、と今後認められる可能性が高くなったわけであり、この判例は、通貨発行権を民間に回帰させる大いなる一歩であると感じます。

今後の仮想通貨の注目ポイント

今後の暗号通貨市場を占うキーファクターは、以下に整理することが出来ます。

1.BSN
2.DCEP
3.Libra

巷でよく言われている各国のデジタル通貨は、本質的にブロックチェーンではないので、暗号通貨市場には大きな影響を与えません。単に、既存の信用創造がデジタル化されただけです。DCEPの場合はやや特殊で、Alipay, WeChat, BSNといった取り組みと連携して、既存の紙幣市場を一撃でひっくり返しかねないため、ブロックチェーンの勢力図が一気に変わりかねないという理由から特に注視をしています。

本稿では引き続き米中の動向に注視しつつ、暗号通貨の未来にクリティカルな影響を与えるファクターを分析しながら、大きなトレンドの中で我々がどう道を切り開くかを表現して参りたいと思います。

出典:松田元氏の第460回note

松田氏について

Beat holdings limited(9399)CEO。早稲田大学商学部卒。実業家としての経験を活かし、複数の上場企業における投資銀行/バリューアップ業務を豊富に経験。2016年衆議院予算委員会における中央公聴会にて、最年少公述人として日銀の金融政策に関する意見を述べる。

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投稿日時: 2020/07/25 18:57
著者: CoinPartner編集部 CoinPartner

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