イーロン・マスク氏は、テスラ社やスペースX社のCEOとして世界的に知られる一方で、仮想通貨市場にも絶大な影響を与えてきました。
彼の発言や行動は、ビットコイン(BTC)やDogecoin(DOGE)をはじめとする仮想通貨の価格変動や市場の方向性を大きく左右してきました。
本記事では2021年から2025年までのイーロン・マスク氏の仮想通貨に関する主要なエピソードを時系列でまとめ、その影響を振り返ります。

2021年:仮想通貨市場を揺るがした年

ビットコイン投資とその撤回

2021年初頭、イーロン・マスク氏はテスラ社が 15億ドル相当のビットコイン(BTC)を購入 し、テスラ製品の決済手段として導入すると発表しました。
これにより、ビットコイン(BTC)価格は 4万ドル台から一気に5万ドルを超える など急上昇しました。
しかし、 5月には「ビットコイン(BTC)のマイニングが環境に悪影響を及ぼす」として、テスラ社でのビットコイン(BTC)決済を中止しました。
この発表を受け、市場は大きく動揺し、ビットコイン(BTC)価格は一時3万ドル台にまで急落しました。

Dogecoin(DOGE)支持と「SNLショック」

イーロン・マスク氏はこの年、Dogecoin(DOGE)に関するツイートを頻繁に行い、 「Dogecoin(DOGE)は人々の暗号通貨だ」 などの発言で価格を急騰させました。
また、 テスラ社がDogecoin(DOGE)決済を一部導入 することを発表し、価格は一時 0.74ドル に達しました。
しかし5月に出演したテレビ番組 SaturdayNightLive(SNL) で、Dogecoin(DOGE)を「詐欺」とジョーク交じりに発言したことで、 市場は失望売りに転じ、Dogecoin(DOGE)価格は暴落 しました。

2022年:影響力の変化と仮想通貨業界の低迷

この年は、イーロン・マスク氏の影響力に変化が見られた年でした。

市場の冷静化

2022年に入ると、イーロン・マスク氏の発言による市場の動きは 以前ほど大きくなくなりました。
投資家が過去の経験から、彼の発言に過度に反応しなくなったためです。
また2022年11月には仮想通貨取引所FTXの破綻が市場を直撃し、仮想通貨全体が大きく下落しました。
この影響により、イーロン・マスク氏の発言が以前ほど市場を動かすことができなくなりました。

2023年:仮想通貨への関心の後退

仮想通貨からの距離

2023年12月、イーロン・マスク氏は 「仮想通貨について考える時間はあまりない」 と発言しました。
これは彼が以前ほど仮想通貨に関与しなくなったことを示唆しており、市場も特に大きな反応を見せませんでした。

X(旧Twitter)買収と決済機能の導入

2022年末にイーロン・マスク氏がX(旧Twitter)を買収し、2023年に仮想通貨を活用した新しい決済機能の導入を示唆しました。
これにより、Dogecoin(DOGE)が再び注目を集め、一時的な価格上昇を見せましたが、 実際の導入は進まず、投資家の期待は徐々に薄れていきました。

2024年:仮想通貨市場とイーロン・マスク氏の関係の再評価

2024年には、仮想通貨市場におけるイーロン・マスク氏の影響力がさらに低下していきました。

Dogecoin(DOGE)訴訟問題

2024年8月、イーロン・マスク氏とテスラ社はDogecoin(DOGE)投資家から起こされた訴訟を棄却 しました。
投資家は、イーロン・マスク氏の発言によってDogecoin(DOGE)の価格が不当に操作されたと主張していましたが、裁判所はこれを退けました。

スペースX社と仮想通貨

またスペースX社が 「BTC to the moon!」計画を発表 し、仮想通貨ファンの間で話題になりましたが、市場への影響は限定的でした。

2025年:イーロン・マスク氏の仮想通貨影響力の現在

X(旧Twitter)の仮想通貨決済導入

2025年に入ると、X(旧Twitter)において仮想通貨を活用した決済機能の試験導入が開始されました。
これによりDogecoin(DOGE)や他の仮想通貨が一時的に注目される場面もありましたが、以前ほどの熱狂は見られませんでした。

まとめ

イーロン・マスク氏は、2021年には 仮想通貨市場の「キーパーソン」 として絶大な影響力を持っていました。
しかし、2022年以降は市場が落ち着き、彼の発言が必ずしも価格を動かすわけではなくなりました。
2023年以降、イーロン・マスク氏自身が仮想通貨への関心を薄れさせたことで、市場の期待も次第に低下。 2025年時点では、影響力はあるものの「絶対的な存在」ではなくなっている と言えるでしょう。
イーロン・マスク氏の影響力が最も強かった時期と比べると、仮想通貨市場はより 投資家の自律的な判断 に基づく動きへと変化してきています。
彼の発言だけで市場が動く時代は、もはや終わりを迎えたのかもしれません。
イーロン・マスクと仮想通貨の関係は、これからも完全には途絶えることはないでしょう。
しかし2021年のような急騰・急落の時代は過去のものとなり、より本質的な技術やエコシステムの発展が重要視される時代に移り変わりつつあります。