マカフィー氏のTwitterがハッキング被害に遭う

暗号資産(仮想通貨)市場はまだ生まれて間もないためTwitterや2ch、Facebookなど様々なSNSの影響を大きく受けます。特にTwitterでは多くの専門家や著名人が暗号資産(仮想通貨)の流れを予想するツイートをしていて、その発言によりチャートが変動することは珍しくありません。アメリカのプログラマー、ジョン・マカフィー氏もTwitterを通して暗号資産(仮想通貨)に影響を与えてきた人物の一人ですが、2017年12月28日にマカフィー氏のTwitterが乗っ取りに遭っていたことを自身のTwitterで明かしました

ハッカーはマカフィー氏の50万人以上のフォロワーがいる公式Twitterアカウントを乗っ取りBasic Attention Token(BAT)ネクスト(NXT)シアコイン(SC)などの購入を推奨するツイートをしました。乗っ取られていた期間のツイートはすべて削除され、「自分はセキュリティ対策の専門家ではあるがTwitterのセキュリティ対策に関して一切権限を持っていない」として自分の責任ではないと述べています

ジョン・マカフィー(John McAfee)とは

ジョン・マカフィー氏は2013年に日本でセキュリティ対策市場の占有率で1位となったアンチウイルスソフト会社「McAfee」の創設者です。セキュリティ対策の第一人者として知られる一方で、過去には麻薬使用や殺人の容疑もあり、大統領選出馬や過激な言動をしたことでも知られています。2016年からマカフィー氏はMGT CapitalのCEOに就任しビットコインのマイニング事業を行っています。

マカフィー砲とは

暗号資産(仮想通貨)の値を大きく上げるコイン紹介ツイート

マカフィー氏は「価値のあるコインを支援するため」として「今日のコイン(Coin of the day)」と称し自身が注目するアルトコインの紹介をするツイートを2017年12月21日から始めました。ですが「大勢の暗号資産(仮想通貨)関係者からのプレッシャー」によりマカフィー氏は12月26日を最後に「今日のコイン」は終了し毎週月曜日の朝に「今週のコイン(Coin of the week)」とするツイートを行いました。その矢先に「今日のコイン」として偽のツイートがハッキングした人によってなされたため、「今日のコイン」がすでに終了していることを知らず、ツイートがマカフィー氏によるものだと信じた人も多かったはずです。マカフィー氏1月1日から「今週のコイン」が開始し、1月2日から「今週のICO(ICO of the week)」を新たに始めています。

マカフィー氏によるコインの紹介ツイートは直後にそのコインの値を2、3倍近くと大きく上げることから「マカフィー砲」と呼ばれています。もっともこの価格上昇は一時的なものであり場合によっては一時間程度で元の価格に戻ってしまうためマカフィー砲により利益を得るにはマカフィー砲にいち早く反応することが求められています。そのため、マカフィー氏のツイートを読み取り自動で売買を行うbotまで誕生しました。


チャートへの影響

実際にマカフィー砲が暗号資産(仮想通貨)に与えた例をいくつか紹介していきます。

Electroneum(ETN)

(CoinGeckoよりETN/JPYのチャート)

Electroneumはマカフィー氏が「今日のコイン」で最初に紹介したコインです。一時約9円まで下がっていた価格は12月21日のマカフィー氏のツイート後に約13円(約1.5倍)にまで価格を上げましたが、徐々に落ち着き1月3日現在約9.8円と元の価格近くまで下がっています。初回から確実に効果を発揮したもののマカフィー砲が一時的なものであることがうかがえます

Humaniq(HMQ)


(BittrexよりHMQ/BTCのチャート)

Humaniqはマカフィー氏が12月25日に紹介したコインです。ツイート時点で約0.00003BTCだった価格は最終的に約0.000076BTC(約2.5倍)まであがりました。またツイート直後にHMQの買いが殺到しBittrexのサーバーが落ちたことでとても話題になりました。

コインパートナーの見解

​日本で暗号資産(仮想通貨)の情報が限られている現状で知識人のツイートなどを参考にトレードを行っている人は少ないでしょう。しかし、当然ながらそのツイートの内容が正しい保証はいっさいありません。偽のアカウントが多数存在するほか、知識人にはICOがお金を支払い紹介をお願いしている場合もあるようで、マカフィー氏も紹介に際し金銭をもらっているのではないかという噂もあります。

現状では短期的な傾向に流されて暗号資産(仮想通貨)の取引を始める人が多いです。暗号資産(仮想通貨)を紹介しているツイートなどは参考にすることはとてもいいことだとは思いますが、最終的には自分で情報を集め情報の真偽とともにその通貨の将来性を実用性の観点から判断してから取引を行うことをお勧めします。