2022年11月に破綻した仮想通貨取引所FTXは、2025年2月18日より、債権者への返済を開始しました。これは、破綻から約2年3ヶ月を経ての措置となります。

破綻の背景

Alameda Researchとの関係: FTXの創設者であるサム・バンクマン-フリード氏は、2017年に暗号資産取引会社Alameda Researchを設立し、2019年にFTXを創業しました。AlamedaはFTXの関連会社として、FTXの取引量の多くを占めていました。2022年5月から6月にかけて、Alamedaは一連の損失を被り、FTXは顧客資金の半分以上をAlamedaに貸し付けていたと報じられています。
FTTトークンの役割: FTXは独自のトークンであるFTTを発行しており、Alamedaの資産の多くがFTTで構成されていました。2022年11月2日、CoinDeskがAlamedaのバランスシートに関する記事を公開し、Alamedaの資産がFTTに過度に依存していることが明らかになりました。
流動性危機の発生: この情報が公開された後、BinanceのCEOであるチャンポン・ジャオ氏が、保有するFTTを売却する意向を表明しました。これにより、FTTの価格が急落し、FTXからの大量の出金要求が発生しました。FTXはこれらの出金要求に応じることができず、2022年11月11日に破産を申請しました。

破綻後の影響

市場への波及効果: FTXの破綻は、暗号資産市場全体に大きな影響を与え、ビットコインの価格は2年ぶりの低水準にまで下落しました。
関連企業への影響: FTXと関係の深かったBlockFiなどの暗号資産貸付企業も、FTXの破綻に伴い経営難に陥り、最終的に破産を申請しました。

返済スケジュールと対象

初回返済: 2025年2月18日、5万ドル未満の債権を持つ「コンビニエンス・クラス」の債権者への返済が開始されました。
次回返済: 2025年5月30日に予定されており、4月11日までに請求を認証した「クラス5顧客権利請求」と「クラス6一般無担保請求」の承認済み債権者が対象となります。

返済額と利率

返済総額: FTXは、破綻後に回収した資産として約147億～165億ドルを保有しており、これを債権者に分配します。
返済率: 98%の顧客が請求額の約118%を受け取る見込みです。
利息: 2022年11月11日からの年利9%が適用されます。

返済手続きと協力企業

分配プロバイダー:返済手続きは、暗号資産管理企業であるBitGoやKrakenを通じて行われます。
手続き要件:債権者は、KYC（本人確認）を完了し、必要な税務書類を提出した上で、BitGoまたはKrakenに登録する必要があります。

創業者と関係者の法的処分

サム・バンクマン-フリード氏: 顧客資金の不正流用により25年の刑を宣告され、110億ドルの返済を命じられました。
ギャリー・ワン氏: 司法への協力により刑を免れています。

まとめ

FTXの破綻後、ついに債権者への返済が開始されました。返済開始日は2025年2月18日で、次回の返済は5月30日に予定されています。今回の返済では、5万ドル未満の小口債権者が優先され、請求額の約118%が支払われる見込みです。また、年利9%の利息も適用されます。
この返済プロセスには、BitGoやKrakenといった企業が協力しており、安全かつ円滑な返済が進められるよう取り組んでいます。一方、FTX創業者のサム・バンクマン-フリード氏は、今回の一連の破綻に関与したとして25年の刑が確定しています。
なお、今回の返済額は2022年11月時点の評価額に基づいており、その後の暗号資産市場の回復や上昇による利益は反映されていません。そのため、債権者は受け取る返済額と現在の市場価値との差異を考慮する必要があります。今回の返済は債権者にとって重要な進展である一方、市場環境の変化による影響にも注意が必要です。