​仮想通貨禁止の姿勢を取りつつも実用化実験を推進

イランで暗号資産(仮想通貨)取引が禁止された数日後、政府の大臣は暗号資産(仮想通貨)発行の「実験」を推進していると発言しました。

イラン情報通信技術省大臣である Mohammad Javad Azari-Jahromi氏は「中央銀行が出した禁止令は国内開発のための暗号資産(仮想通貨)利用を禁止したり制限することを意味するのではない」と​述べ、「先週行われた暗号資産(仮想通貨)プロジェクトの進捗を確認する合同会議において実験モデルが準備されたことが発表された」と付け加えました。この実験モデルは現在イランの銀行に審査と承認のために提示されていますが、詳細は明らかになっていません。例えば、実験に使う暗号資産(仮想通貨)がどれほど正確に機能するかベースとなっているブロックチェーンは何か独自のブロックチェーンで動いているのかそれとも単なるトークンなのか全ての銀行に対応可能かなどは明らかになっていません。そもそも大臣は2月に初期の発表をした際にも多くの情報を公開していませんでした。同氏は当時以下のように述べています。

​「暗号資産(仮想通貨)ブロックチェーンを基盤とした暗号資産(仮想通貨)のポストバンクの取締委員会との会合において、同国きっての頭脳を用いて国内初の暗号資産(仮想通貨)の試験的実施のために必要な措置を定めました。審査と承認が必要なパイロットモデルが同国の銀行システムに披露されるでしょう。」

そうして今や最初の実験を開始するレベルまで来ましたが、これまで述べていたように詳細は依然として明らかになっていません。

この原因としてはトランプが脱税に関してイランに圧力を強めており、5月12日に新たな制裁を課そうとしていることが関係あるのかもしれません。この憶測によってイランでは最近法定通貨が下落し、キャピタルフライト(自国から海外に資本が流出すること)やさらなる価格の下落を防ぐためにイラン中央銀行が暗号資産(仮想通貨)を禁止する事態が引き起こされました。

ここまでの流れを踏まえると、暗号資産(仮想通貨)が国単位で稼働しているケースはベネズエラただ一つとなりますが、ベネズエラの場合はトークンであり、正確にいうとトークン化されたボンドと言えるため厳密にいうとイランが理想とするロールモデルにはならないでしょう。おそらくイランはドバイのケースのように自分たちの金儲けの可能性やデジタイズの必要性を見極めようとしているのではないでしょうか。この場合には実際はかなりの手間を要する実験となるのではないかと思われます。

コインパートナーの見解

​今回のニュースを大雑把にまとめると、イランは暗号資産(仮想通貨)禁止令を出している中で国が暗号資産(仮想通貨)を発行しようとしていることが注目されています。

この動きはベネズエラがペドロという暗号資産(仮想通貨)を国が発行した影響を受けていると思われますが、アメリカから経済制裁を受ける可能性があることが主なネックとなって具体的な実験の詳細は明らかになっていません。

また、もう一つ注目すべきポイントとして中央銀行と政府の暗号資産(仮想通貨)に対する認識の違いが挙げられます。前者は全面禁止を推進するなど真っ向から否定的な態度でありますが、後者はブロックチェーン技術の有用性に注目して肯定的な態度を示しています。銀行側は基軸通貨の価値が失われて経済システムが打って変わるのを危惧しているのでしょう。このような対立は以前取り挙げたチリの裁判判決でも見られます。今後暗号資産(仮想通貨)の実用化に向けて、政府と中央銀行の認識の一致は絶対条件なのかもしれません。

参考:https://www.trustnodes.com/201...