4月23日、ソフトバンクは自社HPのプレスリリースにて、再生可能エネルギーによって削減できたCO2排出量削減分を個人間で容易に売買できる仕組みを開発することを発表しました。
プレスリリースによると、環境省が公募した「平成30年度ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2削減価値創出モデル事業」に、株式会社電力シェアリングが提案した「自家消費される再エネCO2削減価値の地方部等におけるCtoC取引サプライチェーン検討事業」が採択されたことを受け、株式会社電力シェアリングは再生可能エネルギーによるCO2の削減価値をCtoC(Customer to Customer)で取引することに向けた実験を2018年6月から開始するするということです。
また、この実験には株式会社電力シェアリングやソフトバンク株式会社をはじめとして、LIXILと東京電力の関係会社である株式会社LIXIL TEPCO スマートパートナーズなど9つの企業・団体が参加するということです。
プレスリリースによると、従来の温室効果ガス排出量取引の仕組みは手続きが煩雑であり、ゆえに普及しにくいことが課題でした。また、法人の場合と比べて一般家庭における再生可能エネルギーの消費量が少ないためにCO2削減量を適切に評価することが困難であり、排出量の取引は一定規模の法人に限定されるという傾向があったそうです。
そこでこの事業では、再生可能エネルギー利用量を個人にひも付けて把握してデータ収集するソリューションをブロックチェーン技術と連携させることで、各家庭の再生可能エネルギーによるCO2削減量を低コストで、容易にかつ自由にCtoCで取引することを可能にするということです。
また、それに向けて今回の実験では3年間に渡って技術面及びビジネス面を検証するとしています。
(以下概要図)
ソフトバンク及び電力シェアリングのHPより
排出取引とは、元々は1997年に開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議で採択された京都議定書の第17条に規定されているもので、各国や各企業ごとに温室効果ガスの排出枠を定め、排出枠以上の温室効果ガスを排出してしまった国や企業が排出枠が余った国や企業と排出枠を取引するという仕組みです。
この制度により、排出量を削減しやすい国や企業は利益をあげられるので、削減しようという意欲が生まれ、結果として社会全体で排出量が削減されると言われています。
今回の事業での排出量の取引の位置付けや詳しい仕組みは明らかになっていませんが、協力企業の一つであるPSソリューションズが運営する電動バイクのレンタルサービス「瀬戸内カレン」において電動バイクの充電により消費される電力をCO2削減量に紐づけて管理し、各家庭で削減されたCO2排出量と売買されることになると考えられます。
また、国や企業のレベルで行われてきた排出取引に似た仕組みをCtoCで行うことにより、上で述べたように各家庭でのCO2排出量削減を促していく目的があると思われます。
ソフトバンクは日本を代表するIT企業として、これまでもブロックチェーンを活用した国際送金・決済システムの開発を発表してきました。
今回の事業も、CSR(企業の社会的責任)活動の意味合いも含めて、IT企業としてブロックチェーンを活用した事業に協力することを決定したのだと思われます。
また、ソフトバンクのように大半の日本国民に認知されている大企業がブロックチェーンを活用したサービスを展開することでブロックチェーンの認知度が向上し、それと共に暗号資産(仮想通貨)への理解も深まっていくでしょう。
今後もこのような各企業によるブロックチェーン技術の導入に期待しましょう!
(参考記事)
Softbank Eyes Carbon Emissions Cuts with Green Energy Blockchain Pilot
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著者: CoinPartner 編集部 CoinPartner