金融庁は7月27日、金融活動作業部会(FATF)が7月16日に公表した、暗号資産(仮想通貨)と暗号資産サービス・プロバイダー(VASP)に関する最新報告書について発表しました。
報告書は、暗号資産分野のマネーロンダリング・テロ資金供与対策を定める「勧告15」の実施状況を検証したもので、今回が7回目の年次モニタリングとなります。
トラベルルールの導入状況に加え、組織犯罪による詐欺、北朝鮮関連のサイバー窃盗、ステーブルコイン、アンホステッド・ウォレットを使ったP2P取引、海外VASP、DeFiなどのリスクを整理しました。
トラベルルール導入は進展、実際の監督には遅れ
FATFの2026年調査では、回答した109法域のうち91法域、83%がトラベルルールを法制化しており、2025年の73%から上昇しました。
一方、法制化した91法域の60%に当たる55法域では、VASPへの指摘や命令、監督・執行措置がまだ行われていません。制度の導入は進んだものの、実際の監督や違反対応まで機能していない地域が多いことが示されています。
暗号資産とVASPのリスク評価を実施した法域も、2025年の76%から2026年は86%へ増加しました。
ただし、FATFの審査を受けた149法域のうち、リスク評価とリスクベースの対応に関する基準を満たした、またはおおむね満たしたのは48法域にとどまりました。評価結果を規制や監督、執行に反映する点が引き続き課題です。
不正利用では、暗号資産を使った投資詐欺が組織化・産業化していると指摘しました。
報告書では、カンボジアを拠点とする詐欺組織が複数の自己管理型ウォレットやOTC業者を経由して資金を洗浄し、関連する金融グループが2021年8月から2025年1月までに少なくとも40億ドルの不正収益を処理した事例を紹介しています。このうち少なくとも3,700万ドルは、北朝鮮によるサイバー窃盗に由来するとされました。
P2P取引については、調査対象の88%が高リスクと評価した一方、市場規模を収集・分析している法域は23%にとどまりました。
DeFiでも、リスク評価を実施した法域は18%で、ライセンスまたは登録を義務付けたのは4法域、実際に登録・認可したのは2法域のみです。
FATFは各国に対し、VASPの登録・監督、無登録業者への執行、国際的な情報共有を強化するよう求めました。
民間事業者にも、KYCやウォレット監視、資産の凍結・遮断機能、ブロックチェーン分析を活用し、ステーブルコインやP2P、DeFi、海外VASPに対する管理を強めるよう勧告しています。
金融庁は、FATF政策企画部会と暗号資産コンタクト・グループの共同議長国として、今回の報告書の取りまとめに貢献したとしています。
参考元:金融庁
画像:Shutterstock
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