物流大手のAZ-COM丸和ホールディングスが、協力会社約2300社への委託費支払いに、日本円連動のステーブルコイン「JPYC」を導入する計画であることが分かりました。対象には個人のトラック運転手も含みます。JPYCの大規模な法人利用は国内で初となる見通しです。AZ-COM丸和HDはJPYCとの業務提携に加え、10億円超の出資も検討しているとみられます。
AZ-COM丸和HDは、アマゾンジャパンなどの配送や、荷主企業の物流業務を包括的に請け負う3PL事業を手がけています。配送網の末端を支える多数の協力運送会社との支払いにステーブルコインを組み込む動きは、暗号資産(仮想通貨)関連の技術が投機や資産保有にとどまらず、企業間の実務決済に広がり始めたことを示す事例になりそうです。
今回の計画では、JPYC株式会社が発行する法定通貨連動型ステーブルコインを、委託費などの支払い手段として使う方向です。銀行振込が中心だった法人間決済にデジタル通貨を持ち込む形で、受け取り側が多い物流業界での運用が実現すれば、支払い方法の選択肢を増やす動きとして意味を持ちます。
一方で、現時点では導入開始時期や具体的な運用方法、実際にどの範囲の支払いに適用するかは明らかになっていません。出資についても「10億円強」が検討段階にあり、最終的な金額や実行時期は固まっていないとみられます。
約2300社へのJPYC決済が物流業界の法人利用を測る材料に
約2300社という協力会社網にステーブルコイン決済を展開できれば、実証実験の段階を超えた法人利用として国内でも異例のケースになります。個人ドライバーを含む多層的な取引先に同じ仕組みを適用するには、支払い実務、受け取り環境、社内経理との接続など、日常業務に落とし込める運用が求められます。
物流業界では、元請け企業と多数の協力会社が日常的に取引する構造が定着しています。そのため、一社内で完結するデジタル化よりも、取引先をまたぐ決済手段の整備が重要になりやすい分野です。AZ-COM丸和HDのような大手が採用に踏み出せば、ステーブルコインが企業の支払いインフラとして機能するかを測る材料になります。
JPYCは日本円に連動する設計のデジタル通貨です。価格変動の大きい暗号資産とは異なり、決済用途で使いやすいことが特徴とされます。今回の計画は、ステーブルコインの価値そのものよりも、物流の委託費支払いという日常的で件数の多い業務に適用しようとしている点に特徴があります。
参考元:日本経済新聞
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