Ethereum共同創業者のVitalik Buterin氏は7月4日、長期ロードマップ「strawmap」の更新内容をXで共有し、「Lean Ethereum」をThe Mergeに続く「第3の主要刷新」と位置付けました。計画は単発のアップグレードではなく、3〜4年かけて段階的に導入する一連の改善で、「ほぼすべての主要部分が置き換えられる」としています。対象は検証方式やコンセンサス、状態データ構造、クライアント構成まで広く、Ethereumの基盤設計そのものを見直す内容です。
Buterin氏が示した刷新案には、再帰的STARKを使った検証、量子計算に弱い要素の量子安全な方式への置き換え、コンセンサス設計の見直し、マルチディメンショナルガス、状態データ構造の変更が含まれます。処理性能の拡大だけでなく、プライバシーと長期的な安全性を中核目標に引き上げた点が特徴です。
The Mergeがコンセンサスの土台をPoSへ移した大型転換だったのに対し、Lean Ethereumはその上でネットワーク全体の設計を軽量化し、検証しやすくする再構築にあたります。既存アプリを直ちに書き換える前提ではなく、互換性を保ちながら新しい仕組みへ移行できるようにする構えです。
状態データ再設計と量子安全化を優先
今回の構想で具体性が高いのが、状態データの持ち方を新旧2種類で併用する案です。既存型の「動的状態」は中規模に抑え、新型の状態領域を大きく追加する設計が示されました。2030年の一例として、動的状態を2TB、新型状態を100TBまで広げるイメージが共有されています。
この新型状態は、ERC-20やNFT、多くのDeFiアプリに適した設計とされます。ERC-20が新型状態へ移行した場合、手数料を10分の1以下に抑えられる可能性も示されました。Ethereumでは利用拡大に伴って状態データの肥大化が課題になってきましたが、保存方法を分けることで、汎用性と拡張性の両立を狙う形です。
量子安全性の優先度が大きく上がった点も見逃せません。Buterin氏は、量子耐性を備えた設計への移行を急ぐ必要があるとの認識を示し、blob設計の見直しにも緊急性があるとしました。量子計算の実用化が直ちに迫っているわけではないものの、基盤層の更新には長い時間がかかるため、早い段階で設計方針を切り替える意味は大きいとみられます。
プライバシーについても、「第一級の目標」とする方針が明確になりました。これまでEthereumの議論では拡張性や手数料が前面に出やすかったのに対し、今後は取引の秘匿性や検証の効率性を同時に高める方向へ軸足を移すことになります。
ロードマップ上では、H-star(Hegota)が最後の「pre-Lean」フォークとされ、その後のI-star以降でLean Ethereumの色合いが強まる整理です。Berlinで研究者らが更新したstrawmapは、既存の仕組みを部分的に積み増すのではなく、Ethereumを数年かけて別の設計思想へ移していく方針を示しました。
参考元:coindesk
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