米証券取引委員会(SEC)は6月3日、2026年度から2030年度を対象とする戦略計画の草案を公表し、暗号資産(仮想通貨)と分散型台帳技術に対する規制の明確化を最優先目標の筆頭に据えました。草案では、デジタル資産に対して「合理的で、一貫性があり、原則に基づく」規制基盤を整える方針を明記しています。SECが中期の公式戦略文書で暗号資産分野をここまで前面に置いたのは異例です。
草案は3つの大目標で構成されています。そのうち最初のGoal 1で、Objective 1.1として『デジタル資産および分散型台帳技術に対し、合理的で一貫性があり、原則に基づくアプローチを通じて、強固な規制基盤を提供する』と掲げました。
この項目に盛り込まれた内容は広いです。暗号資産に証券法がどこまで適用されるのかを明確にするほか、トークン化された有価証券の発行を通じた適法な資本調達の道筋を整えるとしました。オンチェーンの金融インフラ整備も含み、カストディ、取引、ステーキングといったサービスを適切な監督の下で運営できる枠組みづくりも示しています。
SECと米商品先物取引委員会(CFTC)の管轄境界を明確にする方針も盛り込みました。暗号資産市場では、同じトークンやサービスでも証券規制と商品規制のどちらが適用されるのかが曖昧になりやすく、事業者にとっては参入や商品設計の前提に関わる論点でした。今回の草案は、その曖昧さを中期戦略の段階で整理対象として正式に位置付けた形です。
規制の明確化を資本市場の設計に組み込む
今回の文書で目立つのは、暗号資産を単独の論点として扱うだけでなく、資本市場の仕組みの中に組み込んで整理している点です。トークン化された証券による資金調達や、オンチェーンで動く市場インフラを計画に書き込んだことで、対象は売買規制にとどまらず、発行、保管、流通まで広がりました。
これは、暗号資産関連サービスを個別案件として取り締まるだけではなく、どの活動が適法で、どの活動が監督対象になるのかを先に示す方向へ重心を移すことを意味します。市場参加者にとっては、違反の有無を事後的に争う構図から、事前にルールを確認しやすい構図へ近づきます。
もっとも、今回公表されたのはあくまで草案です。最終版の採択日程や、個別のルール策定がどの順番で進むのかは示されていません。新たな規則案の具体像も、この文書だけでは明らかになっていません。
参考元:SEC公式
画像:shutterstock
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