米商品先物取引委員会(CFTC)の元委員長J・クリストファー・ジャンカルロ氏が、法律事務所Willkie Farr & Gallagherのパートナー職を離れ、法律実務から完全に退くと明らかにしました。
今後はFinTechとデジタル資産分野の創業者や経営陣、取締役会へのアドバイザリー業務に軸足を移します。発表は4月13日、本人のX投稿で公表されました。規制当局の中枢を担った人物が、暗号資産(仮想通貨)業界の支援にフルタイムで乗り出す動きとして受け止められています。
ジャンカルロ氏はXで、「今後はFinTechとデジタル資産の創業者やビルダー、そのCEOや取締役会への助言、公的政策課題に関する調査と執筆、非営利プログラムでの活動に時間を注ぐ」と表明しました。法律家としてのキャリアを終えたうえで、政策と事業の接点に立つ役割へと重心を移す格好です。
同氏は暗号資産業界で『Crypto Dad』の愛称でも知られます。規制当局の出身者でありながら、暗号資産を一律に否定するのではなく、制度の中で育てる姿勢を示してきたためです。
ジャンカルロ氏、ビットコイン先物上場を監督
ジャンカルロ氏がCFTC委員長を務めたのは2017年8月から2019年4月までです。この時期、米国では初となるビットコイン先物市場が立ち上がり、暗号資産が既存の金融市場に接続される転機を迎えました。
同氏はその在任中、ビットコイン先物の上場と、ビットコイン先物ETFの承認プロセスを監督しました。現物の暗号資産を直接保有しなくても、規制下の金融商品を通じて価格にアクセスできる道筋が整った時期と重なります。暗号資産市場にとっては、個人投資家中心だった取引の世界に、機関投資家が入りやすくなる土台づくりでもありました。
この経歴は、単に元規制当局者という肩書きにとどまりません。市場インフラが制度の内側に組み込まれていく過程を、監督する立場で見てきた人物が、今度は事業者側の助言役に回ることになります。規制対応、商品設計、ガバナンス整備を同時に求められる暗号資産企業にとって、実務的な価値は小さくないとみられます。
今回の発表は、暗号資産業界が政策対応を周辺業務ではなく中核機能として取り込み始めている流れを映しています。規制を作る側にいた人材が、今度は業界の設計図を描く側に回る局面に入っています。
参考元:cointelegraph
画像:shutterstock
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