こちらの文章は先日M&Aでグループ会社となったBeat Holdings Limited社CEOの松田元氏によるコラムとなっています。
今後は松田氏と議論を重ねながら仮想通貨に関する見通しについて、定期的に連載していく予定です。また、松田氏はnoteによる解説も行っているので、是非そちらもご覧ください。
今回のコラム概要
ビットコインと株式市場の上昇を期待する一方で法定通貨の相対価値はしばらくの間減少の一途を辿るだろう。
しかし、現在のビットコインの上昇も金融商品の1つとして上昇しているに過ぎない。
ビットコインの”真の上昇”は、ビットコインの本来有する本源価値がブロックチェーンの技術特性とあわせて社会に理解された時である。
これが実現された際にはビットコインが10万ドルを目指す動きをしたとて何も驚くことはない。
ビットコイン、サクセスストーリーのシナリオの1つがここにある。
3月~現在までの振り返り
振り返ってみれば、3月に安値をつけた際、原油も金も株式市場も全てが連動して極端に値段を下げています。
過去の相場経験から、ほぼすべての指数が連動して上げ下げするときは、必ずそれらのうち“どれかがフェイク”であり、数日から数週間で、フェイクの値動きが是正されるものと思っていました。
従って、3月時点では以下のように読んでいました。
・株式市場の価格下落⇨正解
・原油の価格下落⇨フェイク
・金の価格下落⇨フェイク
つまり、金と原油の価格は戻り株式市場の戻りは鈍いのではないか。
なぜなら、いくら各国政府が株式市場を買い支えたとしても、中央銀行の発行する債券(紙幣)の信用(金利)そのものが崩落しかねないリスク(クレジットリスク)が伴っていたからです。
そして、新たなアセットクラスであるビットコインは、例え一時的に下落していたとしても必ず復活すると信じておりました。
結果、蓋を開けてみれば、ほとんど全ての金融商品は、3月の下落が夢だったのかと疑うほど復活し、さらには下落前の遥か上方まで価格を伸ばしています。
金融市場が最後の砦

“相場の絶対法則は需給”であり、欲しい人が増えれば価格は上がり、欲しい人が減れば価格が下がる、ということを考えれば、少なくとも現時点までは、表面的な市場は健全に見えています。
そもそも、疫病による世界的不況に伴い、実体経済は確実に崩壊します。
金融市場まで崩壊したら本当に人類は終わることを考えると、ケインズの美人投票的にいえば、皆が考える美人とはすなわち“金融市場こそ最後の砦”ということなのでしょう。
美人の定義が、黒髪や茶髪、長身や短身、といった細かい点では各自議論があるものの、少なくとも美人の前提条件は目が2つあり鼻が1つある人間である、ということは否定しようのない絶対事実なわけです。
つまり、細かいこと(クレジットリスク、量的緩和の功罪、流動性の罠など)は取り敢えずおいといて、“金融市場だけは何が何でも死守しろよ”、というのが、現時点における美人投票の結論なのだと思います。
とはいえ、株式市場を買い支えるにも先立つものが必要なわけで、原資を調達するために、世界各国はブレーキの壊れた列車のごとく、量的緩和・追加経済政策を乱打しています。
結果的に、国の発行する債券の総量は増え、世界に流通する紙幣の総量も増え、その資金が、株式市場を始めとする金融市場に流れ込んでいきます。
前述した相場の絶対ルール、需給の法則に従えば、貨幣価値は減価し、物価が上昇する(インフレ)未来が容易に見えますが、少し興味深い事象が発生しています。
ビットコインの上昇は続く
状況を整理すれば、これから少なくとも米大統領選までは、選挙対策も視野に入れて、確実に以下の事象は途切れることはありません。
1.世界同時量的緩和(お金を刷りまくる)
2.世界同時株高・金融市場高(株・その他金融商品を買いまくる)
3.世界同時経済対策(景気を刺激しまくる)
そして、米中のつばぜりあいはそう簡単に終わるとは思えないので、米中関連の投資商品は非常にハイボラティリティになることも注意が必要です(アリババ株、人民元、中国株など)。
もちろん、前記2.の金融市場には、ビットコインも入ります。
ビットコイン上げの理由を指摘する識者の中には、デジタル・ゴールドの可能性や金特有のリスクを感知した投資家による買いが中心である、とされる節もありますが、そんなことはありません。
単純に、行き場をなくしたマネーが未だ投資家に理解されておらず、オルタナティブアセット(代替資産)として買われているに過ぎないので、本源価値が本当の意味で理解された時にさらに値を上げていくことになるでしょうが、それはまだ少し先のお話になります。
いずれにせよ今後の市場を占うとすれば、9月~10月に大統領選を警戒した多少の売りが降ってこようと、基本的に、以下のトレンドは継続し、買いで取るロングの投資家からすれば、非常に有利な市況が続くことになります。
・株高
・債券高
・金(ゴールド)高
・銀(シルバー)高
・ビットコイン高(ETHなど一部アルトコイン高)
・原油高
・コモディティ高
発行体の経営者としては、市場の活性による恩恵を受けているわけで有り難い限りです。
とはいえ基本的に全てのリスクアセットが上がり続けていく“異様さ・不気味さ”には常に警戒が必要ですし、クレジットリスクに常に備えた経営を行っていかねばならないと身の引き締まる思いです。
法定通貨の価値は下がり続ける
ところで、これまで記述した金融商品の中で触れてはいませんが、今後、確定的に価値が下がるものが一つだけあります。
聡明な本稿の読者様は既にお気づきかもしれません。そう、“法定通貨”です。
法定通貨だけは、相対価値が今後も下がり続けることは間違いありません。
そしてその下落幅は、GDPや商業不動産やインフラ関連の株式とは比較にならないレベルにあります。
実は人類は、既に法定通貨の価値毀損という大きな螺旋から逃れられないカルマに包まれてしまっているのです。
極端な話、株価が仮に二倍になったとしても、法定通貨の本原価値が半分になっていれば、それは価値が変わっていないことになってしまいます。
残念ながら法定通貨の価値を相対的に評価する対抗資産は株や先物を始めとする金融市場しかなく、そして金融市場が膨大なマネーにより異常なレベルに上がっていますので、法定通貨の価値毀損を体感することが難しい状況が続いています。
しかし、実はこの株式市場の上昇、金価格の上昇、ビットコイン価格上昇の状況は、裏を返すと、“それだけ法定通貨の価値が毀損されている”と言っても過言ではないのかもしれません。
実体経済が最悪期に入り、各国は経済政策を行うことがマストだとすれば、先立つもの(現金)が必要です。
現金を刷るためには債券(国債)を刷る必要があり、債券に一定の信頼を与え続けるには、金利は安くしなければなりません(ゼロ金利政策・マイナス金利政策)。
安い金利で発行される新規マネーが増え、そのマネーの対価として株式市場が上がるとすれば、これはもはや、株価が上がっているのではなく、相対的に見て、“法定通貨の価値が株式価値を下回っている”と表現するほうが適切な気すらしてしまいます。
冒頭でご紹介した法定通貨建てビットコインの上昇率トップが、疫病で最も経済的に苦しむブラジルであることが、実に深淵な真実を人類に投げかけているように感じます。
ビットコインの将来
先程述べましたように、ビットコインは金融商品の一部として法定通貨による新規マネーが流入しているに過ぎず、もちろん価格上昇は業界関係者としては有り難い限りですが、その本源価値がしっかりと評価されるまで、決して安心はできません。
金融商品と連動して上げるということは、金融商品と連動して下げるということも容易に想像できます。
本当の意味で次世代の金融資産として認識されるためには、ビットコインの本来有する本源価値、それが、ブロックチェーンの技術特性とあわせて社会に理解される必要があります。
もしそれが実現すれば、噂話レベルではなく、確かな確証とともに、ビットコインが10万ドルを目指す動きをしたとて決して驚くことはありません。
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松田氏について
Beat holdings limited(9399)CEO。早稲田大学商学部卒。実業家としての経験を活かし、複数の上場企業における投資銀行/バリューアップ業務を豊富に経験。2016年衆議院予算委員会における中央公聴会にて、最年少公述人として日銀の金融政策に関する意見を述べる。