テザー、トロン、TRM Labsが共同で運営する「T3 Financial Crime Unit」が、2024年9月の発足以来、450百万ドル超の違法な暗号資産(仮想通貨)を凍結しました。日本円では約712億円に相当します。2025年の押収額は前年比43.9%増となり、ステーブルコインやブロックチェーン基盤が不正資金対策で果たす役割が改めて鮮明になりました。
T3 Financial Crime Unitは5月14日、これまでに23の司法管轄、5大陸にまたがる捜査を支援し、数百万件の取引を分析してきたと公表しました。対象となった犯罪類型には、取引所ハック、薬物取引、北朝鮮関連の資金移動、テロ資金、いわゆる「レンチ攻撃」が含まれます。
暗号資産の不正利用は、匿名性の高さがしばしば問題視されてきました。一方で、ブロックチェーン上の資金移動は記録が残るため、発行体や分析会社、捜査当局が連携すれば追跡と凍結を進めやすい側面もあります。今回の発表は、その性質を実務レベルで示した格好です。
テザーのパオロ・アルドイーノCEOは、デジタル資産市場が拡大するなかで、コンプライアンスは選択肢ではなく基盤だと位置付けました。トロン創業者のジャスティン・サン氏も、TRON上のUSDTが果たす役割の大きさに触れたうえで、法執行機関との協力の重要性を強調しています。
23の司法管轄で捜査を支援し、24時間以内の凍結も実施
今回示された実績で目を引くのは、対応範囲の広さと執行の速さです。支援先には米国、スペイン、ドイツ、オランダ、ブルガリア、ブラジルなどが含まれ、地域横断で不正資金の流れを追跡してきました。
発表では、複数の案件で24時間以内に資産凍結へ持ち込んだ事例も明らかにされました。暗号資産の資金移動は国境をまたいで短時間に進むため、対応の遅れはそのまま資金回収の難しさにつながります。送金の速さが不正利用の利点になりやすい市場で、凍結の速さを対抗手段として示した形です。
犯罪の中身も幅広い。外部からのハッキングで流出した資金だけでなく、薬物取引やテロ資金、北朝鮮関連の資金移動まで対象に含めたことで、単発の摘発ではなく継続的な監視体制として機能していることがうかがえます。
TRM Labsの調査責任者クリス・ヤンチェフスキ氏は、発足以来、法執行機関と並走しながら被害者保護と犯罪収益の遮断に取り組んできたと説明しました。民間の発行体、基盤チェーン、分析会社が役割を分担する構図が、凍結実績の積み上がりにつながっています。
参考元:CoinDesk
画像:shutterstock
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