
東京都は4月17日、日本円建てステーブルコインのユースケース創出を支援する「ステーブルコイン社会実装促進事業補助金」の公募を始めました。
補助率は対象経費の3分の2以内で、1件あたりの上限額は4000万円です。発行事業そのものではなく、都内で実施する活用事業を後押しする内容で、円ベースのデジタル決済インフラ整備を政策として進める動きになりました。
発行ではなく都内の活用事業を補助
今回の補助金は、日本円建てステーブルコインのユースケース創出を通じて、社会課題の解決や決済の利便性向上、円ベースのデジタル経済圏の構築を促すことを目的としています。事業名は「ステーブルコイン社会実装促進事業補助金」で、交付要綱の適用は4月15日に始まりました。
公募期間は4月17日から6月30日までです。申請は電子申請システム「Jグランツ」のほか、郵送や持ち込みでも受け付けます。提出先は東京都産業労働局総務部国際金融都市推進課国際金融都市推進担当です。
補助対象となるのは、東京都内で実施する日本円建てステーブルコイン活用事業です。都内に本店または支店を持つことや、ステーブルコイン関連の免許など必要な要件を満たすこと、国や他自治体の補助金と重複受給しないことなどが条件になります。
対象経費には、外部基盤の利用料、専門家への相談費用や監査費用、システム開発費が含まれます。外部基盤ではプラットフォーム利用料やウォレット関連費用が想定される一方、ステーブルコインの発行委託に伴う裏付け資金は対象外です。システム開発費も高付加価値の取り組みに限られ、単純な構築費を広く補助する制度ではありません。
制度設計から見えるのは、トークンを新たに作る段階ではなく、実際に使える場面を増やす段階に政策の重心が移っていることです。発行体の育成よりも、決済や送金、サービス利用の現場で円建てステーブルコインをどう組み込むかに資金を振り向ける内容になっています。
東京の金融戦略に組み込む次世代決済インフラ
小池百合子知事は17日の記者会見で、ステーブルコインについて「次世代の金融インフラとして注目が高まっている」と述べました。そのうえで「円建てのステーブルコインの活用、これを推進していくことが重要」「皆さんにステーブルコインを使っていただく機会も増やしていきたい」と語り、利用機会の拡大を都の施策として位置付けました。
東京都は2050東京戦略の中で国際金融都市としての機能強化を掲げています。今回の補助金もその流れにあり、海外でステーブルコインの流通が広がるなか、東京で円建てのデジタル決済基盤を育てる狙いがにじみます。金融政策というより、都市政策と産業政策を組み合わせて決済インフラを整える構図です。
円建てステーブルコインは、価格が日本円に連動する設計のデジタルマネーです。暗号資産(仮想通貨)のようにブロックチェーン上で扱える一方、価格変動を抑えやすい特徴があります。利用者にとっては、値動きの大きい暗号資産を介さずに、送金や決済、デジタルサービス内の支払いに使いやすい点が実装の前提になります。
参考元:日本経済新聞
画像:shutterstock
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