アステリアは3月31日、ハウディ・クリプトとステーブルコイン分野で業務提携したと発表しました。4月1日に提供を開始する企業向けJPYC入出金管理サービス「JPYC Gateway」において、国内開発のハードウェアウォレット「Openloop」を標準サポートし、企業利用で課題となりやすい秘密鍵管理の安全性向上を図ります。
ステーブルコインの業務利用では、送金や保管の利便性に注目が集まりやすい一方、実務面では秘密鍵の管理が大きなハードルになりがちです。
今回の提携では、JPYCを企業システムに取り込むための管理基盤に、インターネットから切り離して利用できる専用端末を組み合わせることで、安全管理を強化します。海外製品が中心となっている市場の中で、国内開発の機器を標準で組み込む点も特徴です。
JPYC Gateway、専用端末で秘密鍵管理に対応
JPYC Gatewayは、企業がJPYCの入出金を管理するためのサービスです。基本使用料は月額9万8000円、送金手数料は1件あたり8円に設定されています。
アステリアのデータ連携ツール「ASTERIA Warp」を通じて、ERPや会計システムとノーコードで接続できる仕組みを備えており、対応するステーブルコインはまずJPYCから開始し、今後は順次追加する予定です。
企業がステーブルコインを扱う際には、送金機能そのもの以上に、誰がどの取引を承認したのかを安全に管理できるかが重要になります。秘密鍵をPCやオンライン環境に近い場所で扱う場合、不正送金や内部統制上のリスクが高まりやすくなります。
JPYC Gatewayはこの課題に対応するため、Openloopと連携し、送金時に端末のタッチスクリーン上で取引内容を確認したうえで、物理的な操作によって署名を承認する仕組みを採用しました。業務システムから送金指示を出すことはできるものの、最終承認は専用端末で行う構造となっています。
JPYC Gateway新規契約企業にOpenloopを無償提供
Openloopは、ハウディ・クリプトが展開する国内開発のハードウェアウォレットです。EAL6+認証のセキュアエレメント「NXP SE050」を内蔵し、2つのチップでシードを二重に暗号化する「DualSecure」技術を採用しています。
秘密情報を汎用端末から切り離して保管し、署名時のみ専用機器で承認する設計となっており、企業利用を意識した構成が特徴です。
接続方式はAir GapのQRコード、USB、Bluetoothの3種類に対応しています。取引内容を端末側で確認できるため、PC画面のみを見て承認する運用に比べ、確認の独立性を確保しやすいとしています。
導入促進策として、JPYC Gatewayの標準プランを新規契約した企業のうち先着100社に対し、Openloopを1台無償提供します。申し込みは4月1日に始まり、機器の提供時期は2026年夏ごろを予定しています。サービス開始と同時に、秘密鍵管理のための専用端末もあわせて導入できる体制を整えました。
両社は、JPYCが2025年10月に発行を開始し、2030年には市場規模が約30兆円に達するとの見通しも示しました。ステーブルコインの企業利用拡大が見込まれるなか、会計や決済の現場に組み込むには、利便性だけでなく、鍵管理や承認フローの整備も欠かせません。今回の提携は、そうした実務面の課題への対応を打ち出した動きといえそうです。
画像:shutterstock
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