「3年前の“ビットコインバブル期”とは何が違うのか」2021年8月、ついにBTC価格は「11万ドル超」に?

2017年末頃から2018年——怒涛のパフォーマンスを披露したあの“ビットコインバブル期”から、約3年が経った。

2021年に突入してもその勢いをなんとか維持する仮想通貨ビットコインは、依然として35,000ドル(=約363.6万円)台をキープしている。

では、3年前の“ビットコインバブル期”と今日のビットコイン市場は、いったい何が異なるのだろうか?

ビットコイン市場における「Stock-to-Flowモデル」およびビットコイン・イーサリアム(ETH)の急激な成長にフォーカスし、その違いを解き明かしていく。

1.ビットコインStock-to-Flowモデルが掲げる超強気価格予測「11.5万ドル」まで暴騰か=大手ファンドPantera Capital社

世界的大手ヘッジファンドPantera Capitalが、ビットコイン(BTC)のStock-to-Flow(S2F)モデルに関する新たなデータを共有した。

Stock-to-Flowモデル」とは、ビットコインの希少性に基づいて作成されたモデルだ。

ビットコインは、供給上限があらかじめ定められているという特質を有するため、各時点においてその“希少性”を定量化することができる。

Stock-to-Flowモデル」では、その“希少性”は“Stock-to-Flow”として定量化しており、「現在の備蓄量(Stock)÷年間新規供給量(Flow)」との、いたってシンプルな形で算出されている。

同モデルを根拠として今後の価格行動を予測したPantera Capital社によると、2021年8月1日までにビットコイン価格は『115,212ドル(=約1195.2万円相当)』に到達する可能性が高いといい、今後中長期的な強気トレンドの形成を強調した。

その強気な予測の根拠として、Pantera Capital社は、「現在のビットコインの価格行動は、Stock-to-Flowの軌道にほとんど正確に従っている」こと説明している。

実際、先週ビットコイン市場は約28%規模の価格修正へと転じて市場全体に一時的な緊張をもたらしたものの、すぐに回復を遂げた。

一般的に、急激な価格修正と短期間での価格統合は中長期的な強気相場の特徴と考えられており、Pantera Capital社は自社の価格予測シナリオに自信を抱く。

(Source: https://www.panteracapital.com/about)

同社が掲げる価格モデルは、約4年に一度発生する“半減期”によるビットコイン市場への影響に焦点を当てている。

Pantera Capital社によると、「“半減期”の影響は、その約6か月後に現れる傾向にある。」という。

事実、20205月にビットコイン半減期をむかえたときの価格は約8,000ドル(=約82.9万円)で、その6か月後のビットコイン価格は15,000ドル(=約155.6万円)超に。

当時のビットコイン相場は、放物線状のラリーに突入して史上最高値を更新する寸前だった。

「半減期の約6ヶ月後にビットコイン価格に影響をおよぼす」という傾向があらわれたのは、2020年5月半減期の際だけではない。

上記のチャートは、各半減期後の日数ごとのビットコインの価格変動状況を示している。

過去2回の半減期において同様のパターンが発生したが、それぞれ期間が異なるところ、現在のビットコインの価格パフォーマンスは、「2012年から2016年にかけてのサイクルの間にある」ように考えられる。

上記データを踏まえると、ビットコイン価格は、最後に訪れた“半減期”(=20205)から約450日後、すなわち「2020年8月4日頃に300,000ドル-400,000ドル(=約3,111.7万円-約4148.9万円)になる」可能性が高いとも考察できる。

 2017年末頃から記録されたビットコイン価格大幅上昇時には、年が明けて間もなく突発的な価格暴落へと転じたが、今回はどうか。

半減期後日数とビットコイン価格の間の深い関係にも注意を払いつつ、市場の動向を見守っていく必要がありそうだ。

2.仮想通貨市場に巻き起こる“価値の集中化”、ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)市場に大きな変化が 

そして、2017年頃に記録された“ビットコインバブル期”とのもうひとつの重要な違いは、『全体的な市場構成と価値の位置』に大きく関係している。

2020年、機関投資家が最も確立されたチェーンを選択して仮想通貨セクターへのエクスポージャーを獲得したため、現在の仮想通貨市場価値の大部分は「ビットコインとイーサリアム(ETH)」に集中している。

中華圏ビザの公共政策ディレクターであるAndyYee(@ahkyee)は、Pantera Capital社のレポートについて、自身のTwitterにて、仮想通貨市場におけるビットコインおよびイーサリアム(ETH)へのシフト指摘した。

「今回(=2020年から2021年にかけて)のラリーは大きく異なります。PanteraCapital社によると、2017年における「投機的でありながら十分に機能しないトークン(に集中していた傾向)」から、今日における「#ビットコインと#イーサリアム(に集中する傾向)」へと、大幅なシフトを記録しているようです。」

(Source: https://www.panteracapital.com/about)

上記チャートでも示されているように、2021年1月6日時点でビットコインとイーサリアム(ETH)は仮想通貨市場全体のうち約86%の価値を有しており、残り約5,000もの仮想通貨は全体の14%に過ぎない。

一方で2017年後半頃の同様のデータを参照すると、ビットコインおよびイーサリアム(ETH)は市場全体の約52%程度で、リップル(XRP)やビットコインキャッシュ(BCH)など他の主要アルトも大きな価値を有していたことが分かる。

過去約3年間でのこのような変化は、ビットコインとイーサリアムが市場シェアを大幅に統合したことを示している。

このような大幅な変化について考えられる要因としては、主に2点挙げられる。

1点目は、「仮想通貨市場へのエントリーポイントとして、ビットコインに焦点を当てた機関投資家が急増した点」にある。

ネットワークセキュリティと広大なマイニングインフラストラクチャなど多岐にわたる背景によって大きな飛躍を遂げたビットコインは、2020年半ば頃から世界中各国各地域で機関投資家の参入を呼び込み、高い価格パフォーマンスを発揮した。

そして2点目が、「主にイーサリアムネットワーク上に構築されている分散型金融(DeFi)エコシステムが急成長を遂げた点」にある。

DeFiエコシステムが成長し続けると、イーサリアムネットワーク上のあらゆるスマートコントラクトおよびDeFiプラットフォームと対応し続ける必要があるため、イーサリアム(ETH)の価格がより一層上昇する傾向にある。

DefiPulseが報告したデータによると、現時点でDeFiにロックされている資金(=TVL)は、「総額約231.2億ドル」で、これは過去最高水準に相当する。

(Source: https://defipulse.com/)

このTVL(Total Value Locked)が増加すると、Aave(AAVE)Synthetix(SNX)などのトップエコシステム関連トークンの価値も増加する。

DEXにおけるボリュームデータの分析を行うDune Analyticsが報告したデータによると、「 UniswapやSushiSwapなど、上位の分散型取引所(DEX)での取引量は増加傾向を継続している。」といい、週別のDEX合計ボリュームはつい最近130億ドルをも突破している。

(Source: https://duneanalytics.com/auth/login#8546)

これらを踏まえて…2021年のビットコイン(BTC)・仮想通貨市場全体に起こり得ることとは?="アルトコインシーズン"の到来も

では、2021年以降の仮想通貨市場全体はどのような動きをみせる可能性が高いのか。

各仮想通貨市場アナリストらは、「ビットコイン市場への大量資金流入は、新たな“アルトコインシーズン”を引き起こす兆候」だと主張する。

現在、ビットコインとイーサリアム(ETH)は、仮想通貨市場全体で見てもきわめて多大な勢力を誇っている。

だが、過去の仮想通貨市場サイクルの流れにかんがみると、「上位の仮想通貨から新規かつ有望なプロジェクトへと大量の資金が流れる」可能性が高い。

先日、Real Vision Group の創設者であるとともにTwitterにて約34.5万人ものフォロワーを誇る超人気市場アナリストでもあるRaoul Pal氏は、ビットコインおよびイーサリアム(ETH)市場におけるラリー後の動きについて語り、以下のような自身の見解を示した。

「イーサ(ETH)価格は、2021年最初の14日間で約60%上昇しています。(中略)…わたしは依然としてはるかに多くのビットコインを所有していますが、イーサ(ETH)にも追加しています。次なる目的地は、『リスクの高いアルトコイン』でしょう。」

また、各米メディアはゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)が仮想通貨のカストディサービスを提供する準備をしているとも噂しており、ビットコインの次の「超強気サイクル舞台を開始する」可能性があるとも報告している。

さらに、その他各世界的大手企業も続々とビットコイン市場への参入を加速させており、仮想通貨業界への好ファンダは後を絶たない。

“機関投資家クラス”から市場への持続的な資金流入は、ビットコイン価格を大幅に引き上げ、既出のStock-to-Flowモデル予測にも好影響をもたらす触媒となる可能性が高いだろう。

“仮想通貨元年”と呼ばれた2017年末頃から約3年を経て、ついにビットコインの“真価”が問われる2021年に突入した。

あらゆる好ファンダを追い風に、ビットコイン・イーサリアム(ETH)を筆頭に仮想通貨市場全体はさらなる発展を遂げることができるのか――目まぐるしく変化する仮想通貨市場に、今後も引き続き世界中から大きな注目が集まっていきそうだ。

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この記事は、cointelegraph.comの「Hedge fund predicts “$115K Bitcoin price and the fall of ‘speculative’ altcoins”.」を参考にして作成されています。