​2019年に入ってロシア国内では暗号資産(仮想通貨)に関する議論が白熱している。

世界有数の経済大国にて、暗号資産(仮想通貨)はどのような認識をされているのか。大物政治家の発言を中心に特集をした。

​ロシア首相「仮想通貨価格下落は開発中止の理由にはならない」

ロシアのドミトリー・メドベージェフ首相は、暗号資産(仮想通貨)が依然として「興味深い」存であり、価格の下落は開発中止の理由にはならないと好意的な発言をしていた。

今年1月15-17日にモスクワにて開催された、主要経済評議フォーラムであるGaidar Forumにて、メドベージェフ首相は暗号資産(仮想通貨)について以下のように言及した。

「我々は暗号資産(仮想通貨)がいかに優れているかという議論を交わした。中には価格が5倍以上下がった通貨もあるが、これは暗号資産(仮想通貨)を見捨てる理由にならない。​」と暗号資産(仮想通貨)に肯定的な発言をした。

ロシア国内ではICO規制の法律制定に動く

​メドベージェフ首相が暗号資産(仮想通貨)に関して好意的な発言を交わしたのと同時期に、ロシア経済開発貿易省はITやブロックチェーン業界など特定の商業団体による、暗号資産を用いた金融取引を許可する法案を提出していたようだ。

さらに1月中旬には、ロシア下院金融市場議会委員長であるアナトリー・アクサコフ氏が、ロシアがデジタル経済規制に関する諸法案を採用する見込みであると発言

ICOはじめとしたクラウドファンディングにおける暗号資産(仮想通貨)利用を規定した法律を、今年2月15日までに提出すると説明していた。

ロシア法務大臣「仮想通貨を法律によって定義する必要はない」

メドベージェフ首相をはじめとして、ロシアの主要政治家は暗号資産(仮想通貨)の規制に前向きである一方、法務大臣の​アレクサンダー・コノバロフ氏は異なる考えを持っているようだ。

ロシア連邦会議において定期開催されている政府会議にて、コノバロフ氏は憲法75条を引用。

ロシア準備銀行が国の基軸通貨を発行する唯一の金融機関であることを規定している同項を理由に、「決済手段として暗号資産(仮想通貨)を利用することを断固として禁止する」と宣言している。

コノバロフ氏によると、暗号資産(仮想通貨)は現行の法律では「その他の資産」に分類されると主張。暗号資産(仮想通貨)は価値の交換媒体(medium-of-exchange)にはなり得ないと述べている。

また、暗号資産(仮想通貨)を法律によって概念化する必要はないとしており、あくまでも証券のような有価資産の一種に過ぎないと考えているようだ。

ロシア国内での仮想通貨議論は今後も継続か

​上記のように、ロシア国内での暗号資産(仮想通貨)議論には賛否両論が分かれており、規制も未だ整備されていないのが現状だ。

したがって、ロシアが今後どのような立場をとるかは、現時点で定まっていなと言えよう。

世界有数の経済大国として、絶大な影響力を持つロシア。その動き次第で今後の暗号資産(仮想通貨)市場が定まると言っては過言ではないだろう。

したがって、暗号資産(仮想通貨)規制や首脳陣の発言に関しては最新の注意を払っていきたい。