ブロックチェーン分析企業チェイナリシスは6日、暗号資産(仮想通貨)保有者を暴力で脅して資産を奪う「レンチ攻撃」で、2026年上半期に3,000万ドル超が実際に奪われたと公表しました。
年後半も同じペースが続けば、2025年通年の過去最多記録だった5,800万ドルを上回る見通しです。暗号資産市場ではオンライン上の不正だけでなく、保有者本人を狙う物理的なリスクが強まっています。
上半期に確認された暴力事件は46件でした。このうち実際に奪取に成功したのは12件で、成功率は26%となり、2025年の49%から低下しました。件数が増える一方で成功率が下がっているのは、攻撃の裾野が広がる一方、未遂や失敗事案も増えていることを示します。
手口は誘拐が52%で最も多く、住宅侵入が37%を占めました。被害はデジタル空間のハッキングとは異なり、ウォレットのロック解除や送金を被害者本人に強要する形が中心で、資産管理の問題が生活上の安全と直結しています。
地域別ではフランスへの集中が際立ちます。2025年に19件だった同国の関連事件は、2026年上半期だけで30件に達しました。ローラン・ニュネズ内相は6月、暗号資産関連の暴力事件を70件超把握していると明らかにしており、統計に表れた件数を上回る広がりも示唆されています。
標的は保有者本人にとどまりません。2026年初頭には家族や知人を狙う事件が全体の25〜30%を占め、フランスでは40%超に達しました。税務当局のデータ漏洩が標的リストの拡大要因になった可能性があり、資産額や本人情報が結び付くことで、オンチェーン上の活動が現実の脅威に転化しやすくなっています。
奪われた資金の移動先も一様ではありません。攻撃者の技術力が低い場合は中央集権型取引所(CEX)へ直接送金される例がある一方、より高度なケースでは分散型取引所(DEX)やブリッジ、DeFi、洗浄サービスを経由し、追跡を難しくする動きが確認されています。
チェイナリシスは対策として、保有額を公にしないこと、実名とオンチェーン活動を結び付けないこと、自宅を含む物理的な防犯対策を強めることを挙げました。暗号資産の自己管理は自由度の高さが利点とされる半面、保有情報の公開や資産の見せ方が直接的な犯罪リスクにつながる局面が一段と鮮明になっています。
参考元:Chainalysis
画像:Shutterstock
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