暗号資産(仮想通貨)市場は5月10日から5月11日にかけて、週末の戻り高値圏から急速に売り直される展開となりました。10日は中東情勢の沈静化期待や週内に予定されるクラリティ法案に関する上院銀行委員会マークアップへの期待を背景に、ビットコイン(BTC)が8万2000ドル台まで戻り高値を試す場面もみられていました。
しかし、11日午前にトランプ大統領がイラン側から提示された回答を「完全に受け入れ不可能」と公に拒否したことで地政学リスクが急速に再燃、リスクオフの巻き戻しで仮想通貨市場は荒れる相場となりました。
BTC、8万2000ドル台へ急騰|CPI・次期FRB議長承認控え週明けに買い戻し優勢
ビットコイン、トランプ発言で急落し8万ドル防衛に

BTC/USDT 1時間足チャート
ビットコインは5月10日の取引開始時点で8万ドル台前半を維持し、週末を通じて買い戻しが優勢に推移しました。クラリティ法案のマークアップ日程確定を巡るリスクオン地合いも追い風となり、11日早朝にかけては当日高値となる8万2164ドルまで戻り高値を試しています。
しかし、11日午前にトランプ大統領がイラン回答を拒否したと発信した直後から戻り売りが加速し、価格は8万582ドル付近まで反落。下方向では8万ドル、その先の7万9000ドル台、上方向では8万2000ドル台の戻り売り圧力が引き続き焦点となります。
イーサリアム、高値から押し戻され2300ドル台に

ETH/USDT 1時間足チャート
イーサリアムも10日から11日早朝にかけて買い戻しが優勢で、2330ドル台までじり高に推移していました。週末のリスクオン地合いに加え、ビットコインの戻りに連動する形で底堅さが意識されていました。
しかし11日朝のトランプ氏発言後は売りが先行し、当日安値2299ドル付近まで押し戻されました。11時時点では2324ドル前後で前日比ほぼ横ばいまで戻したものの、当日高値からは値を消した格好です。下方向では2300ドルのサポート維持、上方向では200日移動平均線が位置する2680ドルの抵抗が引き続き意識される展開です。
リップル、1.5ドル台まで急騰後に1.44ドルへ反落

XRP/USDT 1時間足チャート
XRPはクラリティ法案のマークアップが5月14日に実施されると報じられたことを直接的な追い風に、5月10日から11日早朝にかけて急ピッチで上昇しました。11日未明には一時1.51ドルを突破し、当日高値を更新する場面もみられています。
しかしトランプ氏のイラン拒否発言を契機に他銘柄と歩調を合わせて急反落し、12時台には1.44ドル付近まで値を消しています。上昇分の大半を吐き出した形で、上方向では1.5ドル回復の有無、下方向では1.40ドルのサポート維持が次の焦点となります。
トランプ氏「完全に受け入れ不可能」発言で中東情勢が再燃
5月10日までの市場では、トランプ大統領の訪中を控えて米国が中国経由でイランへの圧力を強め、和平交渉が進展するとの観測が広がっていました。中東情勢の沈静化期待が暗号資産市場の戻り基調を支え、週末を通じてリスクオン色が強まっていました。
しかし、11日にトランプ氏が自身のSNSで「私はたった今、イラン側のいわゆる『代表者たち』からの返答を読んだ。気に入らない、完全に受け入れ不可能だ」と発信。これまで織り込まれてきた交渉進展シナリオが一気に巻き戻され、安全資産としてのドル買いが先行しました。リスクオフの流れが暗号資産市場全体に波及し、市場全体が急反落する展開となりました。
5月14日のクラリティ法案とトランプ訪中が次の試金石
市場の視線は、まず5月14日に予定されるクラリティ法案のマークアップに向かいます。法案進展が確認されればXRPに加え暗号資産市場全体への期待が広がる可能性があります。5月14〜15日のトランプ大統領訪中でも、米中首脳会談の場でイラン情勢への中国の関与がどこまで議論されるかが焦点です。
さらに5月15日にはパウエルFRB議長が退任し、ウォーシュ氏が新議長に就任します。年内利下げ期待が後退する中、新議長の発言が中期的な方向感を左右しそうです。
BTCは8万ドルを早期に維持できるか、ETHは2300ドル台を死守できるか、XRPは1.40ドル台後半を維持できるかが、それぞれ次の方向感を決める焦点となります。
