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中国中央銀行総裁が発言、ステーブルコインの金融リスクに警鐘

2025年10月29日 13:13  11月18日 11:52  kishimoto

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ステーブルコインは金融安定に対する脅威と中国人民銀行総裁が発言

2025年10月末、中国人民銀行(PBOC)の潘功勝(パン・ゴンション)総裁は、国際的な金融会議において「ステーブルコインは世界の金融安定性に対する脅威である」と明確に発言しました。
この発言は、中国が長年にわたって追求してきた通貨主権の強化とデジタル人民元(e-CNY)の普及政策、そして民間暗号資産に対する厳格な規制方針の延長線上にあります。

画像をクリックするとBIS(国際決済銀行)の公式サイトに移動します。

ステーブルコインとは何か

ステーブルコインとは、米ドルやユーロ、円などの法定通貨に価値を連動させた暗号資産の一種です。
代表的な銘柄としてはUSDT(テザー)やUSDC(USDコイン)が挙げられ、価格変動が少なく安定していることから、仮想通貨取引所や決済分野で幅広く利用されています。
しかしその一方で、法的整備が追いついていない地域では、資本逃避やマネーロンダリングの手段として悪用される懸念も指摘されています。

潘総裁の主な発言内容

金融監督上の不備
潘総裁は、ステーブルコインがAML(マネーロンダリング対策)やKYC(顧客確認)など、基本的な金融監督の要件を満たしていない点を強く批判しました。
また、違法な資金移動の温床になり得るとし、金融システムの抜け穴となっていると指摘しています。
通貨主権への脅威
ステーブルコインは一見安定しているように見えても、実態としては主に米ドルに連動しており、特に発展途上国や資本規制のある国においては、自国通貨の価値を脅かす可能性があると述べています。
これは、中国に限らず多くの国々で問題視されているテーマです。
デジタル人民元との対比
潘総裁は、民間企業が発行するステーブルコインに対してゼロ・トレランスの姿勢を維持すると明言した一方で、政府が発行・管理するデジタル人民元(e-CNY)を「規制の枠組みに基づく安全なデジタル通貨」として評価し、今後さらに拡充していく意向を示しました。

この発言が持つ意味

国際的な規制議論との連動
中国だけでなく、国際決済銀行(BIS)や米国財務省、欧州中央銀行なども、ステーブルコインのリスクについて継続的に警告を発してきました。
今回の発言は、こうした国際的な議論の流れと整合しており、中国が積極的にルール形成に関与しようとする姿勢の表れとも受け取れます。
通貨の地政学的な競争
ステーブルコインがドル建てであることが多いことから、それがドルの国際的支配力を支える新たな手段となっている点も、中国にとって見過ごせない懸念事項です。
中国は、人民元の国際化を重要な国家戦略の一つに掲げており、ステーブルコインの拡大はその戦略にとって障害となる可能性があります。
民間ステーブルコイン発行者への影響
このような発言は、テザー社やサークル社といった主要なステーブルコイン発行者だけでなく、各国でステーブルコイン事業を模索する企業にとって、将来的な規制環境を見極める上での重要なシグナルとなります。
特に、アジア市場における展開を検討する企業にとっては、中国の動向を無視できない情勢が続いています。

注意すべき点と限界

潘総裁の発言はあくまで「一部のステーブルコイン」に向けられたものであり、全てのステーブルコインを一律に危険視しているわけではありません。
たとえば、完全な準備資産を持ち、ライセンス制度のもとで発行されている規制型ステーブルコインについては、リスクの程度が異なります。
また、中国は2017年以降、暗号資産取引の全面禁止を実施している国であり、その文脈での発言であることを踏まえる必要があります。

今後の注目点

  • 各国におけるステーブルコイン発行・利用に関する法整備と規制体制
  • ステーブルコインの用途がトレーディングから送金や決済に広がるかどうか
  • 中央銀行デジタル通貨(CBDC)との相互関係と競合・共存の行方
  • ステーブルコインの信頼性を巡る金融市場への影響(流動性リスク・償還問題など)
  • 規制環境の違いによる地域間のギャップと市場シフトの動向

まとめ

ステーブルコインは、ブロックチェーン技術を活用した金融革新の中心的存在であり、その利便性と可能性には目を見張るものがあります。
特に銀行口座を持たない人々への金融アクセスの提供や、国際送金の高速化とコスト削減において、実際に成果を挙げている事例も少なくありません。
しかしながら、こうした技術革新が十分な規制や監督なしに進めば、金融市場全体に混乱をもたらす恐れもあります。
潘総裁の発言は、こうしたバランスをどう取るかという世界共通の課題を改めて浮き彫りにしたものといえるでしょう。

重要なのは、ステーブルコインという技術を「否定する」のではなく、「どのように管理・監督し、安全かつ公正に活用できるか」を模索する姿勢です。準備資産の透明性、ガバナンスの健全性、ユーザー保護体制といった側面が、今後のステーブルコイン評価において不可欠な基準となっていくはずです。

中国のような大国が明確な立場を打ち出すことは、世界中の規制当局や関係企業にとって大きな影響を及ぼします。日本を含むアジア諸国も、単なる追随ではなく、自国の金融環境や技術力に即したステーブルコイン政策を構築していくことが求められる局面にあると考えています。

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