「仮想通貨は基本的に金商法のみで規制を」金融庁が検討へ
背景と目的
金融庁は2025年9月1日に公表した「暗号資産に係る規制の見直しについて」という事務局説明資料の中で、暗号資産(仮想通貨)を資金決済法から、原則として金融商品取引法(金商法)へ一本化して規制する方向で検討を進めると明らかにしました。
その主な理由として、現行の資金決済法と金商法の二重規制では、ルールが複雑化し事業者の負担が増える恐れがあることが挙げられています。
画像を選択するとJBAの金商法についての公式資料ページに移動します。

金商法による一本化の意義
二重規制回避と業務負担軽減
資金決済法と金商法が並存すると、規制が重複し監督対象も曖昧になりやすいため、基本的に金商法のみで統一して規制することが適当とされています。
利用者保護の強化
金商法には、情報安全管理・広告規制・インサイダー取引防止・適合性原則・最良執行義務など、投資家保護に直結する制度が整っています。
このフレームを活用することで、利用者はより安心して暗号資産を取引できる環境が整備されます。
また、日本ブロックチェーン協会(JBA)もこの見直しに賛意を示し、ETF解禁や分離課税制度との整合性向上、個人向けレバレッジ規制緩和(2倍→5~10倍など)の可能性にも言及しています。
トークンの分類整備
金融審議会では、暗号資産を以下の2つに分類し、それぞれに応じた規制を検討しています。
- 資金調達・事業活動型
例:IEOトークンなど。情報開示義務の対象になる可能性があります。 - 非資金調達型
例:ビットコイン、イーサリアムなど。交換業者による情報提供義務などが想定されます。
さらに、JBAは単なる形式的分散ではなく、実質的な支配性の度合いで分類すべきとの独自提案も行っています。
分離課税やETF解禁との関連性
今回の金商法への移行検討の流れは、長年論じられてきた暗号資産の分離課税化やETF(上場投資信託)の解禁に向けた重要な布石となりえます。
金商法が整備されることで、暗号資産が「金融商品」としてより明確な位置づけを得られ、ETFの上場や税制優遇へもつながる可能性が高まることが期待されます。
今後のスケジュール感
- 金融審議会の場で金商法移行に関する議論は進行中です。
- Crypto Timesでは、2026年の通常国会に改正案を提出する予定としていると報じられています。
- また、2025年3月には日経が「金融庁が暗号資産を金融商品として法的地位付けする改正案を2026年議会に提出する見通し」とも報じられており、これはインサイダー規制導入を含んだ内容とされています。
まとめ
- 金融庁は2025年9月1日に「暗号資産の規制を基本的に金商法のみとする」検討方針を正式に公表。
- 二重規制による複雑化・事業者負担の問題を回避し、投資家保護の強化を狙いとした制度設計。
- トークンの性質に応じた分類(資金調達型 vs 非資金調達型)と個別規制の検討。
- ETFの解禁や分離課税など、今後の税制・市場制度整備との整合を視野に。
- 2026年通常国会での法改正提出を目指す見通し。
この金融庁の動きは、暗号資産が単なる投機対象から「金融商品」として成熟した位置に移行する大きな一歩になると考えます。
金商法一元化によって、投資家の安心感が高まり、事業者も透明性や規律を求められる市場構造が強化されます。
特に分離課税の導入は、個人投資家にとって税務処理が明瞭になり、暗号資産への投資参入のハードルが下がる可能性があります。
また、ETF解禁により、機関投資家や一般投資家双方がより安心して市場に参加できる道が開けるでしょう。
一方で、分類の曖昧さや実質支配の判断基準など、技術的・制度的な検討を慎重に行わないと、現物型資産と資金調達トークンとの線引きが困難になるリスクも伴います。
規制強化によりイノベーションが阻害されないよう、バランスの取れた制度設計が求められます。
いずれにせよ、今後の審議会での議論や法案の詳細に注目したいところです。
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