近年、多くの企業がビットコインに加えてイーサリアムを財務資産として取り込む「ETHトレジャリー」戦略を採用し始めています。
特にクリプトクアントのデータでは、16社以上がこの戦略を実践しており、合計で約2.46METH(約110億ドル)を保有していることが報告されています。
これはETH供給量の1.8%にあたります。
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市場へのインパクト
・供給‐需要のアンバランス化
トレジャリー企業による大量保有は、ETHの流通供給に影響し、需給のバランスを崩す可能性があります。
Coin Metricsは、累積2.2 M ETH(供給の約1.8%)が短期間で保有され、「供給‐需要のアンバランス」を生んでいると指摘しています。
・ステーキングとネットワーク強化
これらの企業は単なる保有に留まらず、ステーキングやDeFiによって資産効率を高め、ネットワークの流動性とセキュリティを強化する取り組みを進めています。
・価格上昇の追い風
ETHトレジャリー採用により、市場ではイーサリアムへの注目が一気に高まり、価格の追い上げ要因となっています。2025年上半期にはETHがBitcoinを上回るパフォーマンスを見せ、企業買いがその要因の一つとされています。
注目の企業動向
・ETHZilla(旧:180 Life Sciences)
約94,675 ETH(評価額:約4.2億ドル)を保有し、NASDAQ上場ティッカー「ETHZ」として新たに取引開始しました。
・BTCS Inc.
上場企業として初めて、株主に向けたETH配当(1株あたり0.40ドル相当)を発表しました。
市場からは好意的な反応を得て株価が10%超上昇しました。
・BitMine Immersion, SharpLink Gaming, The Ether Machine
数十万ETH規模の取得を短期間で実施し、市場への注目を集めている企業です。
リスクと懸念
・高いボラティリティと連動リスク
企業によるETH買いは市場の期待を集めますが、価格下落時には株価や資産全体が大きな影響を受ける可能性があり、SharpLink Gamingの株価28%下落の例が示すように注意が必要です。
・過剰レバレッジの懸念
Vitalik Buterin氏は、ETHトレジャリー戦略自体には価値があると評価しつつ、過剰なレバレッジが市場の急落時に連鎖清算リスクを生み、エコシステム全体を揺るがしかねないと警告しています。
・クラリティ・規制面の不確定性
ステーキング利回りの課税処理やカストディ責任など、制度面の未整備は依然として懸念材料であり、企業が慎重に対応する必要があります。
・流行のピークに達している可能性
Galaxy Digital CEOのMike Novogratzは、ETHを含むクリプトトレジャリー企業の増加は「ピークに達した可能性がある」とし、新規企業が差別化し難くなる市場飽和への警戒を示しています。
まとめ
企業によるETHトレジャリー戦略は、イーサリアムを「収益を生む資産」として企業財務に組み込む新たな潮流であり、供給圧の削減、流動性強化、価格上昇といった明確な市場インパクトを伴っています。
一方で、高いボラティリティ、過剰レバレッジ、規制の整備不足、トレンドの成熟・飽和といったリスクも並存しており、持続的成長には慎重なリスク管理と戦略設計が不可欠です。
個人的には、ETHトレジャリー企業の登場は市場にとって非常にポジティブな兆候だと捉えています。
ETHが単なる「保有するだけ」の資産から、ステーキングやDeFi運用によって稼ぐ資産へと変わりつつあることは、エコシステム全体の成熟につながる可能性があります。
しかしそれと同時に、市場が急激に過熱するリスクも不可避です。
イーサリアムの長期的な価値とネットワークの健全性を維持するためには、各企業の財務体質やガバナンス、リスク耐性を慎重に見極め、規制面の整備と並行しながら進化していくことが最も重要だと考えます。
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