デジタル資産銀行グループのシグナム(Sygnum)が8月10日に公表した調査結果で、シンガポールの富裕層・プロ投資家の75%がトークン化資産をすでに保有していることが分かりました。非上場株や未公開投資案件への関心が高い一方で、売買のしやすさと制度面の不透明さが普及の壁になっている実態が示されました。
調査は「2026 APAC Tokenization Report」に基づくもので、シンガポール、香港、韓国を中心とするアジアの富裕層・プロ投資家212人を独立系パネル経由で対象に実施されました。シンガポールでは、トークン化された資産が一部の実験段階ではなく、すでに投資対象として組み入れられている状況がうかがえます。
投資先として関心が集まったのは、プライベート市場に属する資産です。すでにトークン化資産へ投資しているシンガポールの回答者では、トークン化されたPE・VCを保有または投資先として検討している割合が48%、プライベートクレジットが47%、コモディティが45%でした。
これらは、通常は機関投資家や一部の富裕層に限られやすい資産です。トークン化によって小口化や管理の効率化が進めば、従来はアクセスしづらかった私募市場の商品にも資金が向かいやすくなります。暗号資産(仮想通貨)市場にとっては、価格変動の大きい主要銘柄の売買にとどまらず、ブロックチェーン上で実物資産や私募資産を扱う動きが投資家層の中で広がっていることを示す材料です。
一方で、保有が広がっていても取引環境は十分に整っていません。すでに投資しているシンガポールの回答者の63%が流通市場の流動性不足を、58%が法的明確性の不足を障壁に挙げました。売りたい時に十分な買い手がいないことや、権利関係や規制上の扱いが資産ごとに分かりにくいことが、投資判断を鈍らせている構図です。
シンガポールでは、金融管理局(MAS)が個人投資家向けファンドを通じたプライベート市場へのアクセス拡大を検討しています。今回の調査結果は、需要がすでに存在する一方で、制度設計と売買基盤の整備が追いついていない現状を映しています。
参考元:Sygnum
画像:Shutterstock
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