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仮想通貨構造案「クラリティー法案」の採決、ステーブルコイン報酬の調整難航で5月へ延期か

2026年4月21日 16:39  Arai Yu

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米上院銀行委員会で予定されていた暗号資産(仮想通貨)市場構造法案「クラリティー法案」の採決が、4月から5月にずれ込む公算が大きくなりました。争点になっているのは、ステーブルコイン保有者への報酬付与をどこまで認めるかです。法案の行方は、約3000億ドル規模に拡大したステーブルコイン市場の制度設計だけでなく、銀行預金とデジタルドルの競争関係にも影響します。

トム・ティリス上院議員は4月20日までに、ティム・スコット上院銀行委員長に対し、法案のmarkup(委員会採決)を5月に移す意向を伝えました。4月16日の時点でも、ステーブルコイン利回り条項の公開を来週以降に先送りし、まず委員会の日程調整を優先する考えを示していました。

法案審議が止まっている最大の理由は、ステーブルコイン報酬の扱いです。現時点のドラフトでは、保有しているだけの「休眠残高」に対する報酬は禁じる一方、決済や送金などの取引活動に連動した報酬は認める方向で調整が進んでいます。

この線引きは、預金に近い商品化を避けつつ、ブロックチェーン上の決済利用を促す狙いがあります。保有残高そのものに利回りを付ければ、利用者にとっては銀行預金の代替になりやすい半面、取引に応じた還元であれば、決済インフラとしての利用促進に重心を置けます。

ただ、この折衷案でも対立は収まっていません。銀行業界は、報酬付きステーブルコインが広がれば預金流出を招くと警戒しています。米銀行協会(ABA)などはロビー活動を強めており、地域銀行を含む預金基盤への影響を問題視しています。

一方、暗号資産業界は、報酬を広く禁じれば米国のステーブルコイン事業者の競争力が落ちると反発しています。報酬設計は、利用者を囲い込む販促策にとどまらず、送金や決済を日常的に使ってもらうための重要な機能と位置付けられているためです。

ホワイトハウス経済諮問委員会(CEA)は、預金流出の影響を0.02%程度とごく小さい水準にとどまるとの見方を示しています。銀行側の懸念と政策当局の試算に開きがあることも、最終文言の調整を難しくしています。

報酬条項が法案全体を左右する理由

クラリティー法案は、暗号資産市場の監督権限やルールを整理する包括法案ですが、審議のボトルネックはステーブルコイン報酬に絞られつつあります。市場構造全体を定める法案でありながら、利用者に見えるのは「保有するだけで得をするのか」「使ったときだけ還元されるのか」という、きわめて具体的な設計の違いです。

この違いは、ステーブルコインが銀行預金に近づくのか、それとも決済専用のデジタルマネーにとどまるのかを分けます。報酬を広く認めれば、発行体は銀行に近い集金力を持ちやすくなります。逆に厳しく制限すれば、利用者の利便性や事業者の収益設計は狭まりやすくなります。

シンシア・ラミス上院議員は、ステーブルコイン報酬を守りつつ、コミュニティバンクからの預金流出を防ぐための超党派妥協を進めていると明らかにしています。法案の成否が、技術革新を認める範囲と既存金融の防波堤をどこに置くかという調整にかかっている構図です。

参考元:bloomingbit
画像:shutterstock