ニューヨーク証券取引所(NYSE)は3月24日、デジタル資産インフラ企業Securitizeと覚書(MOU)を締結し、トークン化証券市場の構築に向けた協業を始めると発表しました。
NYSE関連の『Digital Trading Platform』で、Securitizeを最初のデジタル・トランスファー・エージェントに指名し、ブロックチェーン上での証券発行やオンチェーン決済を支える基盤設計を進めます。
今回の発表は、伝統金融の中核にあるNYSEが、トークン化を単なる実験ではなく、投資家保護を維持した市場インフラとして検討し始めたことを示す動きです。
NYSE、Securitizeを初のデジタル移転管理機関に指名
NYSEによると、Securitizeは同プラットフォーム上で、企業やETFの発行体向けにブロックチェーン・ネイティブ証券を発行できる最初のデジタル・トランスファー・エージェントに位置付けられました。
トランスファー・エージェントは、株式や証券の名義や所有権の記録を管理し、配当や株式分割などの企業アクションを処理する役割を担います。これをデジタル化し、ブロックチェーン上の証券に対応させることで、誰がどの証券を保有しているかという記録管理と、発行・移転・決済の流れを一体的に扱いやすくなります。
市場の表側にある売買システムだけでなく、裏側の台帳管理まで組み替える作業に近く、今回の提携はその中核部分に踏み込む内容です。
24時間取引より信頼を優先、証券トークン化の現実路線示す
NYSEグループのリン・マーティン社長は発表文で、「NYSEは責任あるイノベーションで業界をリードし続けている。トークン化が資本市場をどう強化できるかを探る中で、投資家が期待する信頼、透明性、保護を維持する形で新たなインフラを開発することが重要だ」と述べました。
そのうえで、Securitizeについてデジタル資産インフラと移転管理業務の深い経験を持つと評価しました。
Securitizeの共同創業者兼CEO、カルロス・ドミンゴ氏も、「現実の市場構造の中で機能し、公募証券に必要な保護、統制、業務上の完全性を備えた形でトークン化を構築することが重要だ」と述べました。
トークン化証券は、売買時間の拡張や決済の効率化が注目されやすい一方で、上場証券として求められる管理水準をどう満たすかが普及の前提です。両社の発信は、利便性より先に制度と信頼の整備を置く姿勢を鮮明にしたものです。
24時間365日の取引が可能な市場構想は、暗号資産(仮想通貨)ではすでに一般的です。
ただ、株式やETFのような公的市場の商品では、発行体管理、投資家保護、記録の正確性、規制対応が複雑に絡みます。
今回NYSEが打ち出したのは、こうした制約を外から壊すのではなく、既存の市場ルールの内側でデジタル化を進める道筋です。
参考元:NY証券取引所 公式発表
画像:shutterstock
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