概要
- 背景:「GENIUS法(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)」に基づく取り組みです。
その中で、DeFiスマートコントラクトへKYC/AML機能を自動で組み込む検討が進行中です。 - 公募内容:API、AI、デジタルID、生体認証など、新興技術を活用したDeFiのコンプライアンス強化について意見を募集しています。
- 受付期間:2025年10月17日まで。
- 狙い:リアルタイムのオンチェーン本人確認でマネロンや制裁回避を防止し、コスト削減を図ります。
- 懸念事項:プライバシー保護の確保やイノベーションと規制のバランス調整が課題です。
背景と目的
2025年7月に成立した「GENIUS法」は、米国初の支払い型ステーブルコイン(payment stablecoins)に焦点を当てた包括的な連邦規制法で、発行者に対して厳格な準備金の積み立てや監査・開示義務を課しています。
また、FinCENや財務省には、DeFiを含むデジタル資産におけるAML/CFTの枠組み整備が求められており、同法でもAPIやデジタルID、ブロックチェーン監視などの先端技術導入を想定したパブリックコメント募集が明記されています。
画像をクリックするとFederal Register上の公募ページへ移動します。

スマートコントラクトへのKYC/AML自動実行の具体像
Cointelegraphによると、パブリックコメントの中には、DeFiスマートコントラクト自身が取引前にユーザーの認証情報を検証するモデルの検討が含まれています。
つまり、KYC/AMLを「ブロックチェーンに組み込む」発想です。
財務省は、このようなデジタルID(政府発行ID、生体認証、ポータブル認証情報など)の導入により、コンプライアンスコストを削減しつつプライバシーを保ちながら、マネーロンダリングやテロ資金の流れ、制裁逃れなどを事前に検知する可能性があるとしています。
公開意見募集の期間と今後の流れ
- 受付期間:2025年10月17日まで。
- その後の動き:パブリックコメントを踏まえて、財務省は議会へ報告書を提出し、必要に応じてガイダンスの発出や新たな規制案の策定を進める見込みです。
期待と課題
期待できる効果
- オンチェーンでの即時KYC/AML検出:DeFiの匿名性・非中央集権性に対する強力な対策となるでしょう。
- コスト効率化の可能性:生体認証やAPI連携により、従来型のKYCプロセスより安価かつスムーズになります。
- プライバシー保護とコンプライアンスの両立:ゼロ知識証明などの技術活用が進めば、個人情報を曝露せずに認証可能になります。
懸念点・課題
- 個人情報保護とガバナンス:デジタルID・生体データの流通・管理に伴い、新たなリスクもあります。規制の明確な枠組みが不可欠です。
- 技術的実現性のばらつき:既存DeFiプロトコルの改修には技術的・運用的な障壁があります。
- 国際間の整合性:米国内だけでなく、グローバルに通用する認証基盤が求められます。一国主導だけでは限界があります。
米財務省は、GENIUS法の施行に伴い、DeFiに対してKYC/AMLの組み込みを進めるイノベーティブなステップを踏み出しました。
この取り組みは、規制とデジタル金融イノベーションの交わる“最前線”であり、今後のルール形成に重要な節目となるでしょう。
パブリックコメントは2025年10月17日まで受け付け中です。
DeFi開発者、規制当局、そして暗号資産業界全体にとって、見逃せない議論です。
まとめ
この提案は、「コードが規制を担う」という未来を先取りする大胆なアプローチです。
DeFiの核心に「規制の自動実行」を置くことで、金融犯罪抑止と業界健全化の両立が期待できます。
特にゼロ知識証明のような技術が進化すれば、匿名性と透明性を両立するデジタル金融の新しい姿が実現されるかもしれません。
一方で、生体認証のようなセンシティブな情報を扱う以上、運用設計やガバナンスが極めて重要です。
こうした取り組みが真の意味でユーザー主体かつプライバシー尊重型であるためには、政府と業界、学術界が透明かつ多様な参加による設計が求められます。
過去のAML対応では、規制強化だけが先行し、利便性や技術面の調整が追い付かず、ユーザー離れを招いた例もあります。
今回のパブリックコメント募集では、安価でプライバシー重視、かつ実装可能な技術枠組みをどう設計するか、広範な業界からの知見が寄せられることを期待したいです。
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