金融庁は10月30日、米国、英国、EU、ドイツ、フランス、シンガポール、中国、香港の金融制度を調べた委託調査報告書を公表した。国内で暗号資産(仮想通貨)を資金決済法から金商法へ移す改正法が7月に成立したなか、米欧で先行するステーブルコイン規制の整理が制度設計の比較材料となる。
報告書は渥美坂井法律事務所・外国法共同事業が担当し、2026年3月に作成された。本文は609ページで、銀行、証券、保険に加え、8地域すべてで暗号資産交換業者の規制を扱う節を設けた。金融庁は「金融制度の企画・立案の参考とするため、諸外国における金融制度の概要について…調査を委託しました」としている。
米国章は、2025年7月18日に成立したGENIUS法を、ステーブルコインに関する初の包括的な連邦規制枠組みと位置づけた。施行日は2027年1月18日となる見通しで、2026年10月21日に米通貨監督庁(OCC)が最終規則を公表したことを織り込んだ。
EU章では、2024年12月30日に全面適用されたMiCA規則の国別猶予期間を整理し、最長18カ月を選んだフランス、イタリアなど12カ国は2026年6月末までの移行期間を設けた。
英国章は、英金融行為監督機構(FCA)の協議文書に基づき、ステーブルコイン発行者に対し、裏付け資産の第三者預託、償還請求を受けた翌営業日終わりまでの支払指図、利息分配の禁止を求める案を紹介した。米欧の章では、発行体の資産保全や償還条件を制度の中心に置く構成がみられる。
中国章は、人民銀行など8部門が2月6日に出した新通知を反映し、法定通貨の交換や取引仲介の全面禁止を維持したうえで、無許可の人民元連動ステーブルコインの海外発行を禁止した。RWA(現実資産のトークン化)についても、主管部門の承認を受けた特定の金融インフラを除き、発行、取引、仲介、技術サービスを原則禁止とした。
香港章は、証券先物委員会(SFC)が2025年11月3日付通達で、認可取引所によるトークン化証券の取扱範囲を広げ、海外グループ会社のオーダーブックとの統合を認めた点を盛り込んだ。2025年12月公表の協議結論では、規制対象を店頭取引や仲介まで広げる方向も示した。
国内では7月15日、暗号資産を資金決済法から金商法へ移す改正法が成立し、7月23日に公布された。施行は公布日から1年以内で、今回の報告書は国内金融制度の企画・立案の参考資料として公表された。
参考元:金融庁
画像:Shutterstock
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