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ステーブルコインが米ドルの優位性と米国債需要を押し上げ|英中銀FPC委員が指摘

2026年9月16日 16:05  Arai Yu

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イングランド銀行の金融安定政策委員会(FPC)外部委員、キャロリン・ウィルキンス氏は9月15日、ドル建てステーブルコインの拡大が米ドルの国際的な優位性を強め、米国短期国債の需要を押し上げる可能性があるとの見方を示しました。暗号資産(仮想通貨)市場を中心に成長してきたステーブルコインが、国際決済や国債市場に与える影響を論じています。

ウィルキンス氏は英ベルファストのクイーンズ大学での講演で、ドル建てステーブルコインが国境を越えた決済を容易にし、米国外の利用者によるドル資産へのアクセスを広げていると述べました。ステーブルコイン市場ではドル建てが約98%を占めており、先行者利益を背景にドルの地位を補強していると位置付けました。

裏付け資産を通じた米国債需要も拡大しています。USDTとUSDCの準備資産には、2025年末時点で合計約1,500億ドルの米短期国債が含まれ、同年の純購入額は約330億ドルに達しました。米国債市場全体と比べれば規模は小さいものの、大手ステーブルコイン発行体は短期国債市場で存在感のある買い手となっています。

ただし、米国債需要への影響は、ステーブルコインに流入する資金の出どころによって異なります。米国債を運用するマネー・マーケット・ファンドから資金が移る場合、需要の純増は限られますが、ほかの通貨や資産から流入すれば、米国債需要を押し上げる効果は大きくなる可能性があります。

一方で、同氏はこの構造が市場の不安定要因にもなり得ると指摘しました。大規模な償還が発生した場合、複数の発行体が市場の混乱時に米短期国債を同時に売却し、金利や流動性の変動を増幅する可能性があります。ただし、現時点の市場規模では、米国債市場に重大な脅威を与える段階にはないとの見方も示しています。

ウィルキンス氏の講演は、ステーブルコインが決済インフラにとどまらず、通貨の国際的な力関係や国債市場の需給にも影響を及ぼし得ることを示しました。

参考元:イングランド銀行
画像:Shutterstock