米資産運用大手Vanguardが、個人向けウェルス事業を対象にした「Head of Digital Assets, Personal Wealth」の求人を公開しました。勤務地は米テキサス州ダラスで、デジタル資産戦略の策定から規制当局との対話まで担う幹部職です。2025年末時点で運用資産12兆ドルを抱える同社が、暗号資産(仮想通貨)分野で専門責任者を公募するのは異例です。
求人ページでは、このポストを個人向けウェルス部門のデジタル資産戦略を統括する上級専門職と位置付けています。役割には、事業全体のロードマップ策定と実行、拡張可能なエンドツーエンドの戦略構築、社内外の関係者との連携が含まれます。
業務範囲は商品企画にとどまりません。規制当局や業界団体との対話に加え、市場標準の形成にも関与する内容が明記されました。単なる新規採用ではなく、デジタル資産を個人向け資産形成サービスの中でどう位置付けるかを、経営に近い水準で設計する役割です。
慎重姿勢からの変化が示す戦略転換
Vanguardはこれまで、ビットコインを未成熟な資産クラスとみなし、自社で暗号資産関連ETFを打ち出さない姿勢を維持してきました。今回の求人は、その立場を直ちに転換したことを意味するものではないものの、少なくとも社内に専門機能を置いて対応する段階に入ったことを示します。
とくに対象が機関投資家向けではなく個人向けウェルス事業である点が注目されます。米国では現物型ビットコインETFの普及を受け、個人投資家が証券口座経由で暗号資産関連商品に触れる機会が広がっています。そうした環境下で、助言、商品設計、コンプライアンスを横断して戦略を組み立てる必要性が高まっていました。
競合各社との温度差も浮かびます。BlackRockなどは暗号資産関連商品の提供で先行してきましたが、Vanguardは距離を置く姿勢が目立っていました。今回の採用は、商品投入の発表ではない一方、顧客需要や規制環境の変化に合わせて、無視ではなく管理と設計の対象として扱う方向に重心が移りつつあることを映しています。
参考元:The Block
画像:Shutterstock
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