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トランプ大統領、FRBに仮想通貨企業のマスターアカウント見直しを指示

2026年5月20日 18:50  Arai Yu

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トランプ米大統領は5月19日、大統領令「Integrating financial technology innovation into regulatory frameworks」に署名し、連邦準備制度理事会(FRB)に対して暗号資産(仮想通貨)企業を含むフィンテック企業のマスターアカウントアクセス政策を見直すよう指示しました。

対象には、連邦準備銀行の口座であるReserve Bank accountsへのアクセス評価や、非銀行企業への拡張オプションの検討が含まれます。FRBは120日以内に報告書を提出するよう求められています。

大統領令は、デジタル資産と新しい金融技術を既存の金融サービスや決済網に組み込むため、規制の再点検を進める内容です。

マスターアカウントは、金融機関がFRBの決済インフラに直接つながるための基盤です。これを持てば、民間銀行を経由せずに中央銀行の決済網へアクセスしやすくなり、資金移動や決済のコスト、処理の安定性に影響します。

暗号資産企業にとっては、銀行サービスへの依存度を下げられる一方、これまで米国ではアクセスの可否や審査基準が不透明な状態が続いてきました。

FRBに求めた対応

今回の大統領令は、FRBに対して複数の作業を明示しました。まず、フィンテック企業が米決済網へ接続する際の政策全体を評価し、その中でマスターアカウントを含むアクセスの扱いを見直すよう求めています。

あわせて、12の地区連邦準備銀行がマスターアカウントの認可や拒否について、どこまで権限を持つのかを明確にするよう指示しました。米連邦準備制度は12の地区連銀で構成されており、申請先や判断主体が分かれやすい構造です。権限の所在が曖昧なままでは、申請企業ごとに扱いがぶれやすく、制度の予見可能性も下がります。

非銀行企業へのアクセス拡大を検討対象に含めた点も大きいです。マスターアカウントは本来、銀行や一定の預金取扱機関が利用する仕組みとして運用されてきました。そこに暗号資産企業やその他のフィンテック企業をどう位置付けるかは、米国の金融規制が新しい業態をどこまで受け入れるかを左右します。

決済インフラ接続の意味

暗号資産企業にとってマスターアカウントは、単なる口座の問題ではありません。顧客資金の保全、ドル決済の処理、送金の即時性といった基盤機能に直結します。取引所やカストディ事業者が銀行網への接続で制約を受ければ、サービス設計そのものが銀行パートナーの都合に左右されやすくなります。

そのため、今回の見直しは暗号資産業界の優遇策というより、金融インフラへの接続ルールをどこまで技術中立にできるかという論点に近いです。大統領令が「overly burdensome」な規制の撤廃を促したのも、業態ごとに入口を閉ざすのではなく、監督可能性を保ちながら接続条件を整理する狙いを示したものといえます。

この論点は、すでに個別案件でも表面化していました。3月にはKrakenの親会社がlimited purpose accountの承認を得ており、暗号資産業界で初の事例として位置付けられました。FRB内では、より限定的な機能に絞った「skinny」マスターアカウントの導入案も示されており、全面開放と現状維持の間を探る動きが続いていました。

今回の大統領令は、そうした個別対応を超えて、デジタル資産を伝統的な金融サービスと決済システムにどう組み込むかを連邦レベルで整理するよう求めた点に特徴があります。マスターアカウントの扱いは、暗号資産企業が米金融システムの周縁にとどまるのか、それとも規制下で接続された事業者として位置付けられるのかを分ける制度論になっています。

画像:Shutterstock