米上院銀行委員会は5月14日に、暗号資産(仮想通貨)市場の包括的な規制枠組みを定める「Digital Asset Market Clarity Act of 2025(CLARITY法、H.R.3633)」のマークアップ審議を開きます。
会場はDirksen Senate Office BuildingのRoom 538で、審議はライブ配信される予定です。トークンの分類や米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の役割分担を整理する法案で、米国のデジタル資産規制を前進させる節目です。
CLARITY法が定める監督の線引き
CLARITY法は、デジタル資産をどのように法的に扱うかを整理する法案です。法案本文では、トークンが証券に当たるのか、商品として扱うのかを区分し、それぞれをどの当局が監督するかを定めています。
市場参加者にとって大きいのは、監督の境界線を曖昧なままにしない点です。暗号資産関連事業者はこれまで、同じトークンでも証券規制と商品規制のどちらが適用されるのかが見えにくく、事業設計や上場判断に不確実性を抱えてきました。CLARITY法は、その線引きを連邦法の枠内で明文化する内容になっています。
法案には、仲介業者に関する連邦基準も盛り込まれています。加えて、SECとCFTCに対しては、成立後270日以内に必要なルール整備を進める規定が置かれています。法律が通れば終わりではなく、実務ルールの策定まで含めて制度を動かす設計です。
ステーブルコイン報酬を巡る対立
今回の審議で争点として浮上しているのが、ステーブルコインの報酬設計です。検討されている妥協案では、発行体が準備資産を保有しているだけで利用者に利回りに似た報酬を付ける仕組みは制限する一方、決済や送金など実際の利用に連動した報酬は認める方向が示されています。
この違いは、ステーブルコインを預金の代替に近づけるのか、それとも決済インフラとして位置付けるのかに直結します。保有しているだけで利回りが付く設計は、利用者にとっては預金口座に近い魅力を持ちますが、銀行側から見れば資金が預金から流出する圧力になります。利用行動に応じた報酬に限る案は、その中間を探る調整です。
米国銀行家協会は、ステーブルコインに報酬機能を認めれば預金流出を招き、銀行の融資原資が細ると反対しています。法案の文言をより厳格にするよう求めており、暗号資産業界が求める利便性と、銀行業界が重視する預金基盤の維持が正面からぶつかる構図になっています。
ステーブルコインは価格変動の大きい暗号資産と異なり、ドルなど法定通貨に連動する設計が一般的です。そのため、投機商品というより決済や送金の器として使われやすく、報酬の付け方ひとつで銀行預金との競合関係が大きく変わります。今回の条項を巡る調整は、米国がデジタルドル圏の民間インフラをどこまで認めるかを測る材料にもなっています。
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