BTQ Technologiesは3月19日、Bitcoin Quantum Testnet v0.3.0上でビットコインの量子耐性強化を狙う提案「BIP360」を初めてデプロイしたと発表しました。
開発者や研究者、マイナーが量子耐性を備えた取引を実際に試せるテスト環境の提供が始まり、テストネットには50社超のマイナーが参加し、すでに10万ブロック超が採掘されています。
公開鍵をさらさない設計でTaprootの課題を検証
今回の実装は、ビットコインで使われるTaprootの仕組みに残る公開鍵暴露リスクへの対策を試すものです。量子コンピュータの脅威が現実化した場合、公開された鍵を手がかりに署名の安全性が揺らぐ懸念が指摘されてきました。
BIP360は、この問題に対してML-DSAを採用します。ML-DSAは米国立標準技術研究所(NIST)が標準化した格子ベース暗号で、量子計算への耐性を意識した署名方式です。これに加え、新たな出力形式としてP2MRを導入し、Taprootが持つ柔軟な機能を保ちながら、公開鍵を不用意に露出させにくい構成を目指します。
ビットコインの改良提案は、仕様書の議論だけでは実運用時の課題が見えにくい面があります。今回のテストネット公開で、量子耐性取引は理論段階から検証段階に移りました。署名方式の変更は、ウォレット、ノード、マイナーの挙動がかみ合って初めて成立するためです。
50社超のマイナー参加で量子耐性の検証が実運用段階へ
Bitcoin Quantum Testnet v0.3.0は、単発の技術デモにとどまっていません。BTQによると、参加マイナーは50社を超え、BTQトークンを使った採掘で10万ブロック超を記録しました。オープンソースのコミュニティには、暗号学者、開発者、マイナーなど100人超が参加しています。
この規模感は、量子耐性の議論が研究者だけのテーマではなく、採掘や取引処理の現場に持ち込まれ始めたことを示します。ビットコインの安全性は、優れた暗号方式だけで決まるわけではありません。実際にブロックが積み上がり、複数の参加者が同じルールで動くかどうかが重要になります。
BTQは今後の事業計画として、ブロック報酬に対して3%の手数料を課す量子マイニングプールの運営を予定しています。あわせて、安全サービスやセキュア決済インフラの提供も長期計画に据えました。今回の発表は、量子耐性技術を研究開発の題材にとどめず、採掘や決済の周辺インフラまで含めて事業化を進める姿勢を示したものです。
参考元:PR Netswire
画像:shutterstock
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