Strong and Free Elections Act(Bill C-25)
カナダ政府は3月26日、連邦選挙に関わる暗号資産(仮想通貨)献金を禁止する「Strong and Free Elections Act(Bill C-25)」を下院に提出し、第一読会に進みました。
2019年から認められていた暗号資産による政治献金を止める内容で、選挙資金の透明性確保と寄付者の追跡可能性を重視する姿勢が鮮明になりました。
法案は暗号資産だけを単独で扱うのではなく、money order(郵便為替など)とprepaid payment product(前払い式支払い手段)も含めて禁止対象に加えました。
資金の出どころを確認しにくい手段をまとめて制限する設計で、登録政党、選挙区協会、候補者、党首選候補、公認候補、第三者広告主まで広く適用されます。
カナダ選管、暗号資産の政治献金禁止を推奨
今回の法案提出の背景には、カナダの選挙管理当局であるChief Electoral Officerの判断の変化があります。
同当局は当初、暗号資産献金をより厳格に規制しながら認める方向も視野に入れていました。しかし、2024年11月までに方針を見直し、最終的には全面禁止を推奨する立場へ転換しました。
理由として挙げられたのが、暗号資産の匿名性です。ブロックチェーン上では送金履歴を確認できても、実際の寄付者が誰なのかを制度上確実に結び付けるのは難しいとされています。Chief Electoral Officerは、こうした性質が透明性の課題を生み、寄付者の識別を根本的に難しくすると判断しました。
選挙資金規制では、誰が、いくら、どこに資金を出したのかを追跡できることが前提です。暗号資産は一般の送金手段としては利便性があっても、政治献金の場面では本人確認と資金源の把握が制度運用の中心になります。
今回の禁止は、技術そのものへの評価というより、選挙資金の監督に必要な確認作業と相性が悪いという整理です。
カナダ法案、暗号資産の政治献金禁止と罰則を明記
暗号資産による政治献金は、カナダでは2019年に非貨幣性寄付として認められました。
ただ、利用実績は極めて限定的でした。主要政党が公開ベースで受け取った事例は確認されておらず、2021年と2025年の選挙でも申告実績はなかったと報じられています。
利用がほぼなかったにもかかわらず法案が踏み込んだのは、実際の利用件数よりも、制度として残しておくこと自体のリスクを重く見たためとみられます。使われていない仕組みでも、抜け道として残れば選挙資金規制の信頼性を損ないかねません。今回の改正案は、その余地をあらかじめ閉じる内容になっています。
Bill C-25の条文では、違法に受領した暗号資産寄付を知った日から30日以内に処理する義務も定めました。具体的には、寄付者に返還するか、破棄するか、換金してReceiver Generalに送金しなければなりません。受け取ってしまった後の扱いまで明文化したことで、禁止規定を実務に落とし込む構成になっています。
違反に対する行政罰金も盛り込まれました。
報道によると、最大で寄付額の2倍に加え、法人には最大10万カナダドルの制裁金が科されます。禁止対象は登録政党や候補者だけでなく、選挙広告を担う第三者にも及びます。
選挙期間中の資金の流れを広くカバーする内容で、暗号資産献金を例外扱いせず、選挙資金全体の追跡可能性を優先した法案であることがうかがえます。
参考元:coindesk
画像:shutterstock
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