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Google、2029年に耐量子暗号へ移行|ビットコインに「秘密鍵解読リスク」浮上

2026年3月26日 15:52  3月31日 17:19  Arai Yu

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米Googleが自社インフラ全体について、耐量子暗号であるPQCへの移行期限を2029年に設定しました。量子コンピュータ時代を見据えた中央集権的な移行計画が具体化する一方、楕円曲線暗号を使うビットコインでは、同じ脅威に対して合意形成と資産移動の両面で時間を要する構造が改めて意識されています。

Googleの公式ブログによると、発表はセキュリティエンジニアリング担当VPのヘザー・アドキンス氏と、シニア暗号技術エンジニアのソフィー・シュミーグ氏の連名で公表されました。文中では、量子技術の実用化が「想定よりも早く到来する可能性がある」と指摘し、社内システムや製品群を段階的にPQCへ移行する方針を明らかにしました。

同社はすでに具体策も示しています。報道ベースでは、Android 17で米国立標準技術研究所(NIST)が標準化したML-DSAを導入する計画が含まれます。
単なる研究段階ではなく、期限と実装の両方を伴う移行計画に踏み込んだ形です。

Googleの発表自体はビットコインや暗号資産(仮想通貨)に直接触れていません。ただ、量子計算が既存の公開鍵暗号に与える影響を考えると、ビットコインが抱える固有の課題を照らし出す材料になっています。

ビットコインがGoogleのように量子対策を進めにくい理由

ビットコインは署名方式としてECDSAを採用しています。
理論上、十分に高性能な量子コンピュータが実用化されれば、Shorのアルゴリズムによって公開鍵から秘密鍵を導き出せる可能性があります。秘密鍵が推定されれば、そのアドレスにある資産を第三者が動かせる余地が生じるため、問題は価格変動よりも保管の安全性に直結します。

このリスクは、すべてのビットコインに一律に及ぶわけではありません。
ARK InvestとUnchainedが2026年3月に公表した報告書によると、ビットコイン供給量の約35%、およそ690万BTCが理論上、量子脅威に対して脆弱なアドレスタイプにあります。うち約170万BTCは、すでに失われた可能性が高いと推定されています。

中央管理者が一斉に暗号方式を切り替えられる企業システムと異なり、ビットコインでは各利用者が自ら資産を新しい量子耐性形式へ移す必要があります。

また、プロトコル変更には開発者やマイナー、ノード運営者など多層の合意が不可欠で、企業のように期限を区切って一括移行することはできません。技術的な課題に加え、合意形成そのものがボトルネックとなります。

量子耐性対応はすでに提案段階にあり、BIP 360では新たなアドレス形式「P2MR」の導入が検討されていますが、実装と普及には時間を要する見通しです。

この点で、期限を定めて移行を進めるGoogleとの違いは明確です。ビットコインは単一主体による意思決定ができないため、提案があっても実際の資産移行までには長いプロセスを伴います。

中央集権と分散型の構造の違いは、単なる対応スピードの差にとどまらず、将来的にはセキュリティリスクの非対称として市場に織り込まれていく可能性があります。

画像:shutterstock

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