金融庁が暗号資産を「金融商品」へ再定義、2027年施行を目指す
金融庁の金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」が12月10日に公表した最終報告書により、日本の暗号資産規制が歴史的な転換点を迎えることになりました。これまで「決済手段」として資金決済法で規制されてきた暗号資産が、株式や社債と同様の「金融商品」として金融商品取引法(金商法)の対象となる方針が正式に決定されています。
この規制転換は、2017年の改正資金決済法施行以来、最も抜本的な規制体系の刷新となります。2024年に米国でビットコイン現物ETFが承認されたことを契機に、世界的に暗号資産の「金融商品化」が加速しており、日本も国際的な規制調和の流れに対応する形となりました。
インサイダー取引の刑事罰化と投資サロンへの規制強化
今回の改革で最も注目されるのが、暗号資産市場におけるインサイダー取引規制の導入です。
ビットコインやイーサリアムといった主要な暗号資産は第一項有価証券に準じた規制対象となり、一般に公開されていない重要な情報、例えば取引所での新規上場や上場廃止の決定、ハッキング被害などのセキュリティ事故といった未公表情報を使った取引には、株式と同様の厳しい刑事罰と課徴金が科されることになります。
また、SNS上のオンラインサロンや投資セミナーなどで具体的な銘柄の売買を推奨する行為についても、金商法の「投資助言・代理業」の規制が適用されることが確認されました。無登録で営業を行った場合の刑事罰は、現行の「3年以下の拘禁刑」から「5年以下の拘禁刑」へと引き上げられ、証券取引等監視委員会には無登録業者の活動差し止めを申し立てる権限が付与されるなど、詐欺的な勧誘に対する取り締まりが大幅に強化されます。
銀行参入解禁と20%分離課税への期待
さらに画期的なのが、これまで事実上禁止されてきた銀行や保険会社による投資目的での暗号資産保有が解禁されることでしょう。メガバンクをはじめとする金融機関が自己勘定での投資や、顧客向けのカストディサービスなどを行えるようになります。米国では2024年にビットコイン現物ETFが承認され市場拡大の起爆剤となりましたが、日本でも金商法上の金融商品となることで、投資信託の組み入れ対象としての法的整理が進み、機関投資家や年金基金などの本格参入が期待されます。
また、金商法への移行は税制改正の論拠としても機能します。現在、最大55%の税率が適用されている暗号資産取引の利益について、株式等と同様に20.315%の申告分離課税を適用する案が検討されており、実現すれば取引の大幅な活性化が期待されます。改正法案は2026年の通常国会に提出され、早ければ2027年春にも新制度が施行される予定です。日本は世界で最も厳格かつ透明性の高い暗号資産市場の一つとなり、グローバルなWeb3ハブとしての地位確立に向けた大きな一歩になると注目されています。
