世界経済フォーラムで暗号資産(仮想通貨)を高評価

大手暗号資産(仮想通貨)関連企業のCircle社CEOであるJeremy Allaire氏は現在ダボスで行われている世界経済フォーラム2019に登壇。「暗号資産(仮想通貨)はデジタル時代を生き抜くために必要不可欠」であると好意的は見解を述べた。

Circle社は大手取引所Poloniexを所有する暗号資産(仮想通貨)関連サービス企業。ゴールドマンサックスなどの一流企業から出資を受けるなど、業界の中でも有力な企業として知られている。

Allaire氏は暗号資産(仮想通貨)の分散型技術や改ざん不可能な性質がデジタル時代において必要不可欠であると発言。

「暗号資産(仮想通貨)は個人のプライバシーを保護するための基盤となり、企業を結びつける架け橋となるだろう。」と大きな期待を寄せている。

暗号資産(仮想通貨)に懐疑的な意見に関しては、単に「慣れ親しんでいない」ことが理由であると楽観的な姿勢を見せ、銀行との共存が可能であると考えているようだ。

「我々はCBDC(中央銀行が発行するデジタル通貨)を長い間支持している。ペッグ通貨(法定通貨に価値を裏付けられた通貨)は現在民間企業の間で創られているが、将来的には銀行が主体となって発行するようになると考えている。」

大手証券会社から見た仮想通貨

今回登場したCircle社はゴールドマンサックスからの出資を受けているように、暗号資産(仮想通貨)は大手企業の注目事業の一つとなっている可能性が示唆されている。

特に、暗号資産(仮想通貨)ETFの実現に注目が集まるなど投機的商品としての側面が強いことから、証券企業が今後本格的に着手する期待も市場には広まっている。

そこで、以下に世界的証券大手の暗号資産(仮想通貨)事業の現状についてまとめた。

ゴールドマンサックス

ゴールドマンサックスは今後暗号資産(仮想通貨)事業を進めていく期待が高い企業である。というのも現行のCEOが暗号資産(仮想通貨)親交派だからだ。

同社は2018年5月からシカゴ・オプション取引所(CBOE)やシカゴ先物市場(CME)が提供するビットコイン先物を代理で取引するクリアリングサービスを開始。

CIO(最高財務責任者)を務めるMartin Chavez氏は同社の暗号資産(仮想通貨)サービスについて、「ビットコインの現物取引は非常に興味深く、チャレンジングだ。しかし、カストディ(資産管理)の面で、我々はまだ機関投資家にソリューションを提供できるレベルにない。実現できることを望んでいるが、一瞬で叶うことではないだろう。」と現状と課題を指摘。今後資産管理事業を中心に取り組んでいく可能性を示唆している。

この他にも自社独自の暗号資産(仮想通貨)取引デスクの開設を検討しているという話も広まっている。

JPモルガン・チェース

JPモルガン・チェースはCEOのJamie Dimon CEOが暗号資産(仮想通貨)懐疑派であることが有名であったが、最近はその姿勢が改まってきている。

同社は特にブロックチェーンに関する新規事業を進めているようだ。

代表例はJPモルガンがオーストラリア・ニュージーランド銀行およびカナダロイヤル銀行と提携して進めているブロックチェーン決済プロジェクトINN(銀行間情報ネットワーク)。世界75の銀行が参加しており、日本からもみずほ、三井住友、りそなの三社が協力する世界的なブロックチェーンプロジェクトだ。

将来的にRippleやSWIFTの対抗馬になる期待がされるほどの規模である。

Dimon氏はブロックチェーンを「既存の金融インフラを向上させる技術」と考えていることから、積極的な新規事業開拓をしていくと考えられる。一方、暗号資産(仮想通貨)に対しては「詐欺の一種」と厳しい批判を下している

バンク・オブ・アメリカ

バンク・オブ・アメリカは暗号資産(仮想通貨)事業に関する特許取得に積極的になっている。

特に大きなものとしては昨年11月に取得した暗号資産(仮想通貨)カストディ特許だろう。

同企業は50以上の暗号資産(仮想通貨)関連特許を取得していると言われているが、カストディ事業はゴールドマンサックスをはじめとした大手投資銀行の注目の的になっていることに特許の意味の大きさが伺える。