この記事の概要

  • カナダの選挙管理委員会は、10月に予定されている総選挙に先立ち、政党への暗号資産(仮想通貨)寄付に関する草案を発表。
  • 国内の政党はビットコインでの寄付受領や諸取引に関するガイドライン作成を連邦選挙管理局に要求していることが背景となっている。
  • これに対して連邦選挙管理局は、「暗号資産(仮想通貨)での寄付は金銭以外の現物での寄付に該当する」という指針をとった。

 

カナダ連邦選挙管理委員会は仮想通貨寄付に関する方針を発表

カナダ連邦選挙管理局は公式ウェブサイトにて、暗号資産(仮想通貨)は「お金と資産の両方の特徴を持っている」と言及したものの、本質的に貨幣とは異なっていると強調。

政党への暗号資産(仮想通貨)寄付は非金銭的なもので、債権や株式に近いものだと考えており、納税受領の対象にはならないとの見解を示している。

しかし、実際に寄付を募るにはカナダ公職選挙法(CEA)の規定を遵守する必要があることを追記。

具体的には以下のように表記している。

法定通貨と同様に、暗号資産(仮想通貨)によってモノを購入することが出来る。しかし、法定通貨とは異なり、暗号資産(仮想通貨)は銀行口座に直接入金することは出来ない。この特性があることから、連邦選挙管理局は暗号資産(仮想通貨)を「財産の一種」と定義しており、非金銭的寄付に属すると考えている。

この見解は米連邦選挙管理委員会の立場を反映したものであり、カナダの政府機関の大半は暗号資産(仮想通貨)が非金銭的であるという立場を取っているのが現状だ。

例えば、カナダ歳入庁は暗号資産(仮想通貨)をコモディティの一種と考えており、モノやサービスの売買に使われる際は既存の規制に従って取り扱うよう勧告している。

匿名性確保のために取引記録のブロックチェーン管理を勧告

カナダ連邦選挙管理局は、20カナダドル以上の寄付者の特定および取引をブロックチェーン上で記録を勧告している。

これは法定通貨と比べて暗号資産(仮想通貨)は取引の匿名性が高いことを危惧した政府の対応策といえるだろう。

暗号資産(仮想通貨)寄付を受けた場合、政党は「寄付者の氏名、住所、取引番号、寄付日、寄付に使われた通貨の種類、カナダドルに換算した場合の寄付額」など取引に関する詳細な情報をブロックチェーン上に記載しなければならない。

さらに、必要に応じては規制当局に取引の記録を報告する必要があり、規則を遵守しないとカナダ公職選挙法に違反した匿名寄付とみなされる可能性がある。

そうした場合には受領額の分だけ罰金を支払わなければならない。

受領した暗号資産(仮想通貨)寄付は年度末に会計報告

連邦選挙管理局が透明性を確保するために、候補者や政党は暗号資産(仮想通貨)を使って直接モノやサービスを購入することは出来ない。

購入に使用する際には暗号資産(仮想通貨)を精算し、団体の銀行口座に現金として入金しなければならないと同管理局は述べている。

また、暗号資産(仮想通貨)を売却するためには、市場価値よりも高い価格がついた場合のみ実行可能だ。

売却せずに保有した暗号資産に関しては会計年度末に資産として報告しなければならないと草案には表記されている。