グレースケールは11月3日、バイナンスで10月29日に発生した約63.6億ドルの暗号資産(仮想通貨)流出を受け、取引所のセキュリティ強化が進む可能性と、米国のETPを通じた機関投資家水準のカストディの重要性を示すレポートを公開した。
流出額はTRMラボ推計で過去最大規模となった。FBIは、北朝鮮のハッカー集団トレーダートレイター(TraderTraitor)が関与したと発表している。
グレースケールはレポートで、影響を受けた資産の約95%が補填済みと紹介した。バイナンスはその後、10月31日時点で98%を補充済みとしている。約28.5億ドル相当は凍結または送金を阻止した。
グレースケールのリサーチ責任者ザック・パンドル(Zach Pandl)氏は、「不幸なことではあるが、グレースケールの見解では、本件は取引所のセキュリティ慣行を将来的に強化させるだろう。また、米国の暗号資産ETPが提供するような機関カストディの重要性を浮き彫りにする」とレポートで記した。
同氏は、一時的に市場の信頼を損なう可能性を認める一方、結果として取引所全体の保管・管理体制の見直しを促すとの見方を示した。
レポートは、米投資家がETP経由で利用できる保管体制として、州認可銀行や適格カストディアンによる分別保管を挙げた。あわせて、オフライン保管、マルチシグ、厳格な内部統制、保険が組み込まれている点を利点として示した。現物拠出が可能な商品設計も、機関投資家向けインフラの一部として位置付けた。
本件を含めると、2026年の暗号資産セキュリティ被害額は累計80億ドルを超え、年間ベースで過去最高を更新した。一方で、今回の事件を除いた被害額は前年並みで推移しており、被害額の暗号資産時価総額に対する比率は長期的に低下傾向にあるとしている。
参考元:Grayscale
画像:Shutterstock
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