2025年12月、米国の暗号資産市場が新たな転換点を迎えています。スイスの大手資産運用会社21Sharesによる「21Shares Core XRP Trust(TOXR)」がCboe BZX取引所に上場し、XRPの機関投資家向け商品が本格始動しました。ビットコインやイーサリアムに続く「第三の波」として、実用性を持つトークンの金融商品化が現実のものとなっています。
TOXRの最大の特徴は、徹底したリスク管理体制です。多くの競合ETFが単一のカストディアンに依存する中、21SharesはAnchorage Digital Bank、BitGo、Coinbaseという3つの規制準拠カストディアンを採用しました。特にAnchorage Digital Bankは連邦公認のデジタル資産銀行であり、年金基金など保守的な機関投資家の厳格な審査基準にも対応できる体制を整えています。
管理手数料は当初の0.50%から0.30%に引き下げられ、コスト競争力も確保されています。欧州では既に4億9600万ユーロ(約5億ドル)規模のXRP ETPを運用する実績があり、米国市場への参入により、より流動性の高い環境での取引機会を既存顧客にも提供できるようになりました
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15.5億XRP移動の真相
TOXRの上場と同時期に、市場では大きな話題が持ち上がりました。12月11日、約15億5000万XRP(約31億ドル相当)という巨額の資金移動が観測されたのです。一部では「大口の売り浴びせ」との懸念が広がりましたが、オンチェーン分析は全く異なる実態を示しています。
詳細な追跡調査によると、この資金はRipple関連の長期保有ウォレットから新規作成された6つのウォレットへ、1億XRPという正確な単位で機械的に分割送金されていました。重要なのは、これらの資金が取引所のホットウォレットへ一切流入していない点です。
実際、この期間のXRP価格は2.05ドルから2.00ドルへ約2.4%の調整にとどまり、出来高にもパニック売りの痕跡は見られませんでした。31億ドル規模の売り注文が市場に出れば価格は暴落するはずですが、それは起きていません。
ETFとRLUSD準備のための戦略的配置
では、この資金移動の真の目的は何だったのでしょうか。最も合理的な説明は、ETF市場の拡大に備えた戦略的な在庫管理です。ETFの指定参加者やマーケットメイカーは、ETF設定需要に応じて即座に現物XRPを入手できる体制が必要になります。Ripple社は機関投資家向けのOTC取引や貸借契約のため、特定のウォレットに在庫を切り出したと考えられます。
さらに、12月17日にローンチされた米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」の流動性確保も目的の一つでしょう。取引所パートナーがXRP/RLUSDペアの流動性を初期段階から深く保つため、Ripple社がマーケットメイク用の原資を配備した可能性が高いです。
RLUSDがXRP ETFの価値を支える構造
RLUSDはニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の厳格な規制下で発行される米ドルステーブルコインで、Uphold、Bitso、MoonPayなど主要プラットフォームで取り扱われています。元FDIC議長のSheila Bair氏や元インド準備銀行総裁のRaghuram Rajan氏など国際金融の重鎮がアドバイザリーボードに名を連ねており、規制当局との対話を重視する姿勢が明確です。
銀行や決済業者がXRPを国際送金に利用する際、これまでは着金側での価格変動リスクが課題でした。RLUSDという安定した着地点がエコシステム内に存在することで、金融機関は「送金レールとしてのXRP」と「価値保存としてのRLUSD」を組み合わせて利用できます。これによりXRPの実需利用が加速し、ETFの基礎資産としての価値が裏付けられる仕組みです。
機関投資家マネーの流入が加速
実際、米国XRP ETF全体への累積純流入額は11月中旬から12月初旬にかけて6億6600万ドル(約1000億円)を突破しました。特にCanary CapitalのXRPCは初日取引高5800万ドルを記録し、BloombergのETFアナリストEric Balchunas氏は「2025年の全ETFローンチの中で群を抜いている」と評価しています。
この急速な資金流入により、取引所のXRP準備高は2025年2月以降約29%減少し、65億トークンが流出しました。これらはETFカストディアンのコールドウォレットへ移動しており、市場に流通する供給量を急速に減少させています。この「ETFによる現物吸い上げ」は、中長期的な供給逼迫と価格上昇圧力につながる可能性が高いでしょう。
XRPはもはや投機的な暗号資産ではなく、ETFとステーブルコインを両輪とした高度に金融化されたアセットクラスへと進化を遂げました。21SharesのTOXRは、そのマルチカストディ構造と欧州での実績により、リスク管理を重視する機関投資家にとって有力な選択肢となるでしょう。規制環境の改善も追い風となり、XRP市場は新たな成長フェーズに入ったといえます。
参考元:THEBLOCK